米国は、自動車・同部品に25%、鉄鋼・アルミに50%の追加関税を発動。農機や農産品などその他の品目には一律10%の「相互関税」を賦課している。7月上旬には、相互関税が上乗せされ、日本からの輸出品は24%となる見通し。
現地の工場で生産するメーカーもあるが、農機や建機の材料に使う鉄鋼・アルミについて、米国外からの輸入品を使う場合は高関税が壁になる。
大手農機メーカー3社(クボタ、ヤンマーホールディングス、井関農機)によると、米国では、日本製の小型トラクターや乗用芝刈り機、建機などが人気で、庭作業などに多くの需要がある。

クボタの北米売上高は1兆2700億円で、2024年の売上高全体のうち4割を占める。5月中旬時点の関税率が12月まで続き、何も対策を取らなければ、「300億円弱のコストがかかる」と試算した。同社は「顧客の消費意欲の冷え込みが懸念される」と分析する。一方、米国で販売する製品の値上げも視野に入れている。
ヤンマーは、売上高全体の2割が米国向けだ。関税の影響については「正確な定量評価は難しい。政策動向や市場環境を注視する」としている。現地生産の資材の一部を米国産に切り替えることを検討する。
井関農機は北米売上高が全体の1割以下のため、北米で減収しても影響は軽微だとした。一方、「中長期的な視点での対応策を検討していく」という。
(佐野太一)