23日投開票の立憲民主党の代表選立候補者4人のうち、これまでの論戦を踏まえて、最も農政を重視しているのは誰か──。本紙「農家の特報班」が緊急アンケートをしたところ、最も多く挙がったのは野田佳彦元首相だった。元首相の経験に加え、担い手確保へ、討論会で「国立農業公社の創設」を打ち出したことなどを評価する声が多かった。
アンケートは21日までの3日間、LINEで「農家の特報班」の友だち登録者に呼びかけた。無作為抽出の世論調査とは異なり、本紙読者の多様な意見を聞くために調査し、農家やJA役職員に加え、会社員や主婦ら52人が回答した。最も農政を重視している立候補者として、27人が野田氏を挙げた。

13日の徳島市での討論会で「令和版の国立農業公社をつくる」とした野田氏の発言に着目する声は多い。希望者を雇った後、中山間地域で就農してもらう構想に対し、愛媛県の20代女性果樹農家は自身の経験から「農業研修期間中の収入のなさは課題と感じていた」とし、その点を指摘した野田氏を評価した。
2番目は枝野幸男前代表で、戸別所得補償への言及などが評価された。3番目の吉田晴美衆院議員、4番目の泉健太代表は、世代交代に期待する人の支持を集めた。
本紙「農家の特報班」は、立憲民主党の代表選立候補者4人がそれぞれ代表に就いたら、どんな農政テーマに力を入れると思うかをアンケートした。これまでの論戦や政治姿勢などを踏まえ、農家所得の確保・増大や新規就農者の確保・育成、食料自給率の向上などを挙げる声が多かった。
農政重視の立候補者として最多の支持を集めた野田佳彦元首相に対し、力を入れると思う農政テーマで最も多く挙がったのは「農家所得の確保・増大」。福島県の50代男性兼業農家は「農業だけで生活できる基盤作り」を求めた。
野田氏が討論会で打ち出した「国立農業公社の創設」に着目し、「農業者を増やす」(岡山県の60代男性JA職員)ため「新規就農者の確保・育成」を挙げる人も多かった。
枝野幸男前代表に対しても「農家所得の確保・増大」を期待する声が多かった。「所得が確保されなければ後継者も出てこない」(宮城県の70代男性)として、戸別所得補償制度の刷新などの訴えが支持を集めた。
枝野氏には「中山間地域の維持・発展」も挙がっていて、「農業を生産だけでなく、地域の持続を念頭に置いて発言している」(千葉県の40代男性)と評価する声があった。
吉田晴美衆院議員に対しては「食料自給率の向上」が最多だった。自給率80%を主張する中、「食料安保は優先課題」(鹿児島県の60代男性会社員)との意見に加え、「代表経験者ではなく新しい風に期待」(岩手県の50代男性兼業農家)と新たな世代として評価する声もあった。
泉健太代表には「食料自給率の向上」「輸出拡大」などが挙がった。輸出向けの米生産による水田活用と、有事には国内消費に仕向けるなどの主張をしてきた泉氏に対し、「自給率を高めるとの発言があった」(福岡県の20代男性公務員)、「農政の発言が多い」(埼玉県の40代主婦)との声があった。

