
2022年4月には、JA豊橋、県東三河農林水産事務所らと協力し協議会を発足。化学農薬の使用量削減と省力化を目指す国の「グリーンな栽培体系への転換サポート事業」を活用し空きハウス7アールを天敵増殖用に修繕した。
天敵温存ハウスは、天敵導入を希望する23戸が共同で運営する。6班に分け、週替わりでタバコカスミカメが好む植物クレオメを管理する。個人で天敵を利用していた生産者は「メンバー内で助け合える環境ができた」と喜ぶ。
協議会の中村敏秀会長は、55アールのハウスで、天敵を導入する前と比べて殺虫剤の散布回数は5分の1になり、害虫被害もほとんどなくなった。農薬散布にかかっていた時間を品質管理に充てることで全体の品質も上がり、出荷量が増えた。中村さんは「昨年度協議会でマニュアルを作成した。さらなる普及に努める」と意気込む。
さらに費用減めざす

同協議会では、土着天敵の導入効果を検証しているところだ。
23年度の薬剤の散布回数、費用などを慣行栽培と比較したところ、薬剤全体の散布回数は平均41%減、殺虫剤の使用回数は45%減となった。費用は10アール当たり10万4000円で、これは慣行栽培と比べて55%減となる。作業時間は同39%減となった。
土着天敵の増殖にかかる費用は温存ハウスの建設、修繕費を除いて年間約55万4000円。10アール当たりに換算すると1万600円となる。協議会は本年度、クレオメをプランター栽培から土耕栽培に変えたことで、増殖費用をさらに削減できる見込みだ。
(古庄愛樹)