特定技能外国人の人権保護へ 派遣事業者が業界団体 労働ルール整備
団体名は「特定技能派遣事業者コンソーシアム」。人材派遣会社9社でつくり、全国農業会議所がオブザーバーとして参加する。4月に設立し、10月31日に発表した。農水省によると、特定技能外国人を農業現場に派遣する事業者でつくる業界団体の設立は初めて。
同日、独自に策定した外国人の「人権保護方針」も公表した。国際基準に沿ったもので、差別やハラスメントの禁止、プライバシーの保護、労働・生活環境の整備などを掲げた。派遣先の農家にも順守を求める。
今後は、外国人のキャリアアップに向けた仕組み作りに取り組む。耕種や畜産など分野ごとに、就労期間に応じて身に付ける技能や処遇に基準を設ける。
日本の国際競争力が弱まる中、外国人労働者の確保が課題となっている。コンソーシアムの事務局を務めるYUIME(東京都港区)の上野耕平代表は「人材獲得の国際競争力を高めたい」と話す。
同日、表敬訪問を受けた同省の杉中淳経営局長は「外国人材から選ばれる国、産業となっていくことが重要」と期待を寄せた。
特定技能では、季節ごとの仕事量のばらつきが大きい農業と漁業に限り、派遣形態での外国人の就労を認めている。6月末時点で2万7800人が特定技能で農業に従事。うち数%が派遣形態で、27社に所属している。
YUIME以外の構成員は次の通り。
▽アルプスアグリキャリア
▽グロップ
▽ジョブズ・エル
▽ワークマネジメント
▽HRC
▽Mプランニング
▽スタッフ・パートナーズ
▽PERSOL Global Workforce
[ことば]特定技能 一定の知識や経験を持つ外国人が取得できる在留資格。人手不足が深刻な産業で労働力を確保するために創設された。5年間働ける「1号」と、就労期間に上限のない「2号」がある。最長5年間働ける「外国人技能実習制度」で来日して技能を身に付け、特定技能に移るケースが多い。