【出席者(委員)】
飯国芳明 高知大学名誉教授
榊田みどり フリージャーナリスト(明治大学客員教授)
図司直也 法政大学現代福祉学部教授=委員長
竹田麻里 東洋大学食環境科学部フードデータサイエンス学科准教授
橋口卓也 明治大学農学部教授
星野敏 京都大学名誉教授(オンライン参加)
農水省・前島明成農村振興局長)本日の議題は集落機能強化加算の評価についてだ。一部のマスコミや新聞では、私たちがこの委員会を開くことを考えていなかっただとか、12月になってから開くだとかいうようなことがあったが、全くの間違いだ。この問題が明らかになった時から、私はどういう形でこの場を持つのかについてはずっと考えていたが、どのような形であれ皆さまにきちんと説明をする。そして皆さまを通じて、この委員会の場を通じて、国民にしっかりと説明をする。こういった機会、こういった場は必ず設けなければいけないというふうに考えていたし、その場はできるだけ早くなければいけない。12月では遅すぎるというのは、局の中で言っていたことだ。あのような報道がなされたことに関しては非常に心外だ。ただ、あのような報道がされてしまった。また、ここに至るまでいろいろなところで、主には農政関係を扱っているメディアを通じて、この集落機能強化加算廃止の話が取り上げられるに至った。そのことについては、今回こうやって委員会の場を特別に設けた理由につながるが、率直に謝罪を申し上げたい。私たちは何も考えなしに、また地域への配慮など何もなしに、集落機能強化加算を廃止することになったわけではない。いろいろな考慮を巡らせた結果として、今回、来年度要求するに至ったネットワーク化加算に組み換えをするという判断に至った。その理由について、また集落機能強化加算をこれまで運用してきたことの問題点や課題については、これから説明をしたいと思うが、そういった説明をしっかりとこの春から夏にかけての委員会の場で皆さま方に説明をして、この委員会の場でしっかり議論をしていただく、表舞台で議論していただくということが大事なことだったと率直に反省をしている。今回、本来であれば半年前にもってべきことだったと思うが、このような場を設けさせてもらい、皆さまから忌憚(きたん)のないところ、いろいろご意見を頂戴し、私たちも一方で、ご意見はいただいた上で、やれること、またやるべきこと、あるいはやるべきでないこと、いろいろあると思う。最後はそこは、私たちが行政を預かる身として、責任を持って決断をしていかなければいけないと思うし、その上で国民に説明責任を果たしていかなければいけないと考えている。いずれにしても、今回のようなことに至ったことに関しては、真摯(しんし)に反省して、これからも、正直なところ農林水産省の、このところの悪い仕事のやり方が、かなり凝縮されて、この集落機能強化加算に関して出てしまったなと。さまざまな甘えとも言うべきものが、ある意味この事案に凝集されたのではないかと思う。常々、こういった失敗事例こそ、組織として共有をして、二度と同じような失敗をしないようにすることが必要だというふうに感じている。今回もこの議論を通じて、わが省そして農林水産行政が少しでも国民のお役に立てるように、改めてそのきっかけとなればと思っている。今日はぜひともさまざまなご意見を頂戴したいと思うので、よろしくお願いいたします。
図司委員長)次年度の概算要求に応じて集落機能強化加算の廃止が打ち出された。第三者委員会としては最終評価に至る議論を職務として非常に大事にしていた。少なくとも、その折には、集落機能強化加算について、マイナス要素はなかったと記憶しているが、その中で次年度概算要求での廃止の提示というものが突然示され、第三者委員会と最終評価を行った上で出たものとして、委員会の存在を軽視するものとして、非常に遺憾に感じている。これまで真摯(しんし)に活動に取り組んできた現場の皆さんに与えた影響も非常に大きいと感じており、不安も各方面に広がった。また、委員の皆さんからも第三者委員としての責務が果たし切れていないということで、第三者委員会の責任として10月1日付で委員会の早期開催を委員長の私から要望した。早期開催ということで先ほど12月にはおよばずという話が局長からあったが、この混乱を収拾して議論を重ねるという意味では、早く行うべきところだったと思うし、12月まで間近というところで、この場での開催は果たしてそれにかなったものかどうか、ということは正直疑問をもっている。速やかに対応したものとは言えないのではないかとも感じている。現行基本計画の中でもEBPMの推進が打ち出されており、農水省全体として政策立案の在り方に対して、齟齬(そご)を来すのではないかと非常に懸念するところだ。そういう意味では、客観的な評価を担う第三者委員会の役割を今一度確認をしてほしいし、今日はこの場で集落機能強化加算の評価を委員の皆さんと進めるが、この取りまとめ方について皆さんからは率直な意見がほしいと感じている。
橋口委員)説明を聞く前にまず確認したい。局長のあいさつの内容からして、今日は最終評価の見直しをするという位置付けだと理解しているが、その前提で説明を聞いていいか。
農水省)本日は集落機能強化加算を評価させていただく。最終評価については、農水省として8月末に公表している。第三者委員会においては、評価等も含めて審議してもらう。最終評価については5年ごとに政策全体の見直しに活用することとしており、すでに本年8月に概算要求を終えているため、今の段階で最終評価についての修正等は控えたいと思っているが、委員の皆さまから聞いた意見については、対外的にもしっかり分かりやすい形で残るように従来の議事録に加えて、しっかりと残すような形を取っていきたいと考えている。
橋口委員)先ほど委員長も言っていたが、最終評価には集落機能強化加算について否定的な評価は全くない。むしろ肯定的に評価しているような部分もある。他の加算と一緒ではあるが。そうした内容と今日これから説明がある資料の内容は全く違う内容で、ある意味矛盾したものだ。従って、8月に出したものを削除することはできないかもしれないが、明らかに訂正、修正になると思う。もし、そうでなければ、今日の委員会自体が第三者委員会ではなくて、単なる説明会ではないか。今日の議論は事実上、最終評価の修正に該当するものであると私は思っている。そういう前提で説明を聞くということでいいかなと思う。
図司委員長)おそらく皆さんもそれぞれ意見があると思う。私もあるので、後ほど皆さんから取りまとめ方についても聞いた上で、最終的に議論を締めたい。
【農水省からの資料説明(省略)】
榊田委員)冒頭の橋口委員の話とも重なるが、私これに気づいたのは概算要求の資料の中で、9月の頭には農水省から直接聞いたが、「集落機能強化加算は継続しないこととする」と資料にもあるが、それを評価するのが第三者委員会のはずで、こう書かれてしまうと第三者委員会は、ただ説明を聞いて、はい分かりましたと言うしかない立場になってしまう。それは違うのではないか。継続しないこととしたいというのは農水省の意向であり、それを評価する、皆で議論する場となるべきだと思う。時間的に無理だということであれば、私たちは何を話せばいいのかということになるなと思った。おわびに関しては真摯に受け止めているが、おわびをするのであれば、その上でどういう対応を今後するのかということも考えてほしいと思っている。内容に関して、23年度に集落機能強化加算に取り組んだ集落協定が555で、集落協定全体の2%ぐらいしかないから低いと言われているが、それを言うと他の加算措置はどうなるのかとも思う。集落協定広域化加算の方が件数にしても面積にしても集落機能強化加算の半分もない。こちらに関しては、広域化が難しいのであれば、ネットワーク化で緩やかなところから進めていく。いかにこれを広げていくかというベクトルが農水省の中にあると思う。ネットワーク化に関しては、いいことだと思うので、やってほしいと思うが、逆に集落機能強化加算に関しては地域運営組織につながっていく意図が市町村に伝わっていなかったと書いているが、裾野を広げていくためにこの先どうするかというベクトルではなく、やめましょうということになった。その意図がどこにあるのか、この資料を見てもよく分からない。そのことをきちんと説明してほしい。今後のことを考えてほしいと思う。地域運営組織、RMOにつながっていかなかったことが、今回、廃止の一つの大きな理由になっているが、そのステップの一つとして、もともと位置付けられていたのが集落機能強化加算で、それがうまく行けば最終的なものにつながっていくかもしれないという中で作られたものなので、そのプロセスをどう作っていくかの方が大事だったと思う。やはり単体の集落協定で取り組めないものが、突然、範域も違う農村RMOみたいなところに、ポンって飛べるかってというと、現場からも無理だという話は聞いている。だから、やはり単体でやってからというプロセスが自然だと思うが、そこを考えているのかきちんとこの場で議論したいと思っている。
農水省)一点目については、第三者委員会の中で詳細に説明してなかったことについて、局長の冒頭のあいさつと同じだが、プロセスがよくなかったことについてはおわびする。二つ目のことについては、集落機能強化加算を試行で作った時に、当時の委員の地域政策を取り込んでいくべきではないかという意見を踏まえ、当時の地域振興課長が十日町の事例を紹介しながら、そこはどういう所かというと、集落協定が大きくなり、生産マネジメント法人になり、いろんな生活支援の取り組みもしていくし、集落協定の中で管理できなかった農地を引き受けていく、というのをモデルとして、この加算を作っているので、そこはやはり組織作りを前提にしていたことは間違いないと思う。今期の対策の中で集落機能強化加算がうちの運用がうまくいかなかったこともあり、そういうところにつながっていないことは先ほど説明した通りだ。三点目については、集落機能強化加算が何かということをもう一度説明すると、資料の2ページで、試行の中で人材活用体制整備型と集落機能強化型、これを二つ足して集落機能強化加算になっている。集落機能強化加算の中には、人材確保の部分と農業以外の活動を支援する部分、二つの側面がある。23ページに戻ってもらうと、今回、ネットワーク化加算の中には人材確保は残したままになっているので、集落機能強化加算の全てを廃止するわけではない。今期の加算の中で取り組んできたが、5年前と同じように、小規模集落協定をどう永続させていくのかという課題はそのままだ。いきなり統合は難しいので、集落協定広域化加算と集落機能強化加算を合わせてより一層、緩やかなネットワークをまず作ってもらう。面積に単価を掛けるので、なかなか小さいところが取り組みにくいということもあり、単価も小さいところに多くいくような形に見直す。資料の23ページに類型を書いているが、私どもが目指しているのが協議会型で、こうした協議会を作ってもらうと、22ページの交付金も使えるようになるので、まずこの中山間直払いの中で小さい集落協定が集まって、協議会を作るような体制づくり、こういうものに次期対策については取り組んでいきたいという思いだ。
飯國委員)進め方、目標の立て方、説明の仕方、そこがうまくなくて広がらない。こんなふうに説明を受けたと思う。であれば、そこを直した方がいいのではないか。どうしてやめるのか、という素朴な疑問が逆に湧いてきた。そうした問題をこの委員会で指摘しなかったわれわれにも落ち度は、と同時に思うが、これだけきれいに問題を整理していれば、行政的にそのプロセスを見直し、もっと有効に動かすことができるのではないかという素朴な意見がある。二つ目は、先ほど榊田委員から農村RMOとの関係が問われた。私もずっと気になっており、直接支払いと農村RMOみたいな地域の関係というのが、この制度が生まれた時から、一番最初の方から出てくる。いわゆる直接支払いではなく、集落を基礎にすることで、それにより地域集落の農業を振興することまで書き込んである。そういう刻印を押された制度だと思っている。担い手の大きな変化と集落の今後の見通しの難しさというのがあり、四半世紀の中で特殊な日本型の制度がグラっグラっとして、集落を下支えしようと思うとその集落がブラブラしてくるから、そこを下支え、下支えを下支えする。そういうところにどんどん手を延ばした。今問題になっている加算も、そうしたものの一つと捉えることができるのではないかと思うが、そうなると今後そうした下支えの下支えというか、集落を下支えするというような、そういう政策あるいは事業というものをどう位置付けるのか、切り離してRMOの方に持っていくのか、それとも今後もここである程度抱え込む、そしたらこの間の仕分けはどうするのか。そこらあたりもとても見えづらくなってきている。農村の受け側からしても、どこでどういうふうに何をしていいか分からなくなって、見通しが付かなくなる。そんなことを危惧する。そこらあたりの今後の仕分け、見通しというものが、ある程度出ているということであれば、説明を聞きたいなと。
農水省)二つ目のことから言うと、先ほどの説明の繰り返しになるが、集落機能強化加算を作った時には農村RMOの事業はなかった。その後にいろいろ在り方検討会の提言などを受け、令和4年度にこういう事業を作っている。先ほども言ったが、中山間直払いについては、やはり小規模の集落協定をどうするのかが課題で、できるだけネットワークでつなげて、協議会という形に持っていきたいという思いがあり、そうなれば、先ほど22ページで説明した通り、受け皿になるので、そういうところで農業生産以外の部分については、支援をしていきたいと考えている。
飯國委員)要するに行政手続き上の問題があったので、一つ目の質問は、それをちゃんと直せば、もう一回できるというか、それが素直な議論ではないですかという話だ。
農水省)制度の創設時に狙ったのは、集落協定が地域運営組織になるとか、あるいは既存の地域運営組織と連携して、そういうところでやっていくということだったが、そこがうまくいってなかったので、そうするとやっぱり集落協定をネットワーク化でつなげて、そこの生活支援などは他の交付金でやるというのが良いのではないかと思っている。
飯國委員)小規模な集落がネットワークを広げて、RMO相当まで行くのはなかなか難しいと思う。ここで先ほど報告があったのは、それ以前の問題だ。目標の共有ができてないとか、目標に齟齬(そご)があるとか、かなり重要な問題として挙げられていました。そこのあたりは制度の問題というよりは運営上の問題ではないかという気がする。先ほど、後半部分に出てきた生活の部分は切り離して他のところの補助金や事業に任せるという話が、地域とそれから直接支払いとの間の関係をどう整理しているのか。
橋口委員)まずは事実関係の確認を先にしたい。26ページに「第5期対策の途中から集落機能強化加算に取り組んできた集落協定もある」と書いてあり、「このため、次期対策で新たに創設するネットワーク化加算の中で継続できるよう支援していく考え」と書いてある。集落機能強化加算に途中から取り組んできた協定のみということか。
農水省)26ページは、第5期対策中に集落機能強化加算に取り組んだところということで、新たに第6期から取り組むというところは、この中では考えていない。
橋口委員)集落機能強化加算と地域運営組織との関係について、集落機能強化加算のうち集落機能を強化する取り組みは、地域運営組織の設立や連携を目指すものと断定的に書いてあるが、そこの根拠はどこによるものなのか。先ほど課長からも目指していたと言葉での説明はあったが。確かに第4期対策の最後の方でできた集落機能強化型の時には、予算概算決定の説明資料に「地域の公的な役割も担う団体(地域運営組織)を設立する」と明示的に地域運営組織が出てくるが、現在の第5期対策でやっているものの予算概算決定には、特に地域運営組織という言葉も出てこない。理想形として望ましいとか、あるいはそういうことが確かに最終評価の中にも今後、集落機能を強化するために集落内外の組織との連携体制など、いろいろ書いてありますけれども、こうでなければならないと、それができなかったから肯定的な評価ができないんだと、その明示的な根拠を教えてほしいと思う。
農水省)資料の6ページの一番下に今期対策の実施要領の運用というものがある。その一番下に集落機能強化加算について書いているが、前半の下線に引いてあるところで、「外部人材の確保、移住促進」、これが人材の確保のところでございまして、いわゆる生活支援っぽいもの、それについてはその後で「地域づくりなどの団体の設立、集落機能を強化するために行う集落内外の組織との連携」というふうに書いており、そういう組織の設立や連携というのを目指しているものだ。
橋口委員)そうすると、そこに至らなかった協定というのは、これは違反であって加算も返還しないといけないと、そういうようなことになってしまうのか。
農水省)そこまでではなくて、もちろん地域運営組織と想定はしていたが、それ以外でも当然あるかと思う。ただ、第4期対策の再評価においても、やはり協定が今後とも農業生産を継続する上での課題として、こうした集落機能を挙げているため、多様な組織と連携する場合であっても、やはり取り組みについては協定組織が強化され、農業生産につながることが必要と考えている。
橋口委員)そうすると、この見回り・見守り、高齢者宅や生活道等の除雪・雪下ろし、高齢者宅や生活道等の草刈り、こうしたものはそれで終わってもらっては困ると。そういうことだったのか。
農水省)そういった取り組みもありだと思うが、その結果として、やはり協定組織と多様な組織が連携して、しっかり協定の強化につながり、農業生産活動の継続にもつながる必要があったと考えている。
橋口委員)必ずしも地域運営組織ができる、あるいは連携がなくても強化につながることはあり得るんじゃないかと思う。それで率直に言うと、農水省の説明も不足していたと言っていたように思うが、例えば、農水省の本省で出している取り組みの事例集でも、集落機能強化加算を生かした活動として高齢者の見回り・見守りなど、現場ではいろいろと苦労がある中で取り組みを進めてきて、しかも地域の方に大変喜ばれている実態が紹介されている。例えば、農地の保全と見守り活動というのが、直接的には関係ないように見えるが、声かけや見守りが増加したことで腰が痛くて作業ができない、あるいは機械が故障したといった情報が入りやすくなり、問題にもすぐ対応できて引き続き農地の保全を図ることができる。そうした事例を農水省も紹介している。サロンを開設した協定でも定年が近い2戸の兼業農家で引き受ける農地を増やしているところであり、自分たちができる範囲でできることをしようと、そういう意識が強くなっていると、こういったことも紹介されている。そこには別にRMOに発展する予定だとか、連携をしているとか、そういうことが書いてあるわけではない。こうした見守り活動とか、そういった種々のレベルの活動をいったんは評価しておきながら、最後になって、あなた方の活動は不十分だったと。よって今後同じようなことを他のところで取り組もうとしても、この措置はあなた方の取り組みが不十分だったから廃止すると。手のひら返しと言わざるを得ない。この加算が続かないのは、要するに理想的な活動につながらなかった。農水省がどこかで考えておられて、しかも説明が不十分だった、その理想像に至ったところが少ないので廃止する。こういったことでは現場と行政の信頼関係、あるいは現場は何を信じて活動すればいいのか。そういうことになってしまうのではないか。生活と生産の結び付きのことですけれども、やはり中山間地域の直接支払いの対象地域の中には、比較的元気な高齢者の方が、もっと上の高齢者を支えている。そう遠くないうちに、自分も支援される側に回るかもしれないと。そういう中でいろんな生活支援の取り組みがあるということが、そこに住み続けられる見通しが立ち、農業を続けよう農地をしっかり守ろう。そういった考えにつながっていくんじゃないかなと思う。もしそういうのがなければ、どうやって都会に出ている子どものお世話になろうかとか、あるいは老人施設にどうやって入ろうかとか、やっぱり生活の安心感というのが営農、地域保全、農地保全、地域支援維持、このように深く結び付いているっていうことも考えてほしい。途中までは農水省もそういう例でも評価していたと思う。急にRMOじゃないとダメ、連携がないとダメっていうふうになったのではないかなという印象を強くこの事業からは思った次第だ。
農水省)繰り返しになるが、先ほども紹介した、集落機能強化加算を作る時のモデルは、もともと農業をしていた団体が法人になり、直売所、例えばJAのスーパーがなくなったところの直売所の運営や、高齢者の見守りなど、そうしたところに取り組んでいるものだ。集落機能強化加算は、これをモデルとして組織を作ってもらい、他のいろんな生活支援のものを請け負いながら、集落機能の強化を図ってもらうということをモットーに作った加算で、先ほども説明した通り、うちの運用が悪かったところもあり、そういう組織づくりまで発展しておらず、単に集落内の活動自体が目的になっているものが多い、そこにとどまっているものが多いと評価をしている。
橋口委員)それが二年目、三年目で出てきたならともかく五年目で、しかも廃止を決定した後にこういう説明があると、現場では後付けで説明をしているようにしか見えないというのが実態じゃないかなと思う。先ほど申し上げましたように、この事例集はどういうふうに評価されるのか。この事例集を撤回されるのか。いかがでしょうか。モデルっていうのはもちろん素晴らしいし、その活動から学ぶべきところは多いと思うが、いろんな活動を評価してほしいと思う。現にこの前までは評価していた。この事例集は一体何だったのか。もうこれはやっぱり評価に値しないということで、事例集から削除されるというような考えか。
農水省)そうした取り組み自体を否定しているわけではない。今課題になっているのが、小規模協定で人もいなくなってきて、共同活動自体がなかなかできなくなってきている中、小さい協定のままで生活支援も含めて、持続性という意味で難しくなっているところがあるかと思う。次期対策については、そうしたところを強化して、しっかり体制を作った上で取り組みを進めていきたいと考えている。われわれの推進の仕方も悪かったが、そうした多くの協定においては、ビジョンが共有されないまま、生活支援サービス自体が目的となったということで、本加算については協定組織の強化とか、農業生産活動の継続が図れるような連携ができなかったということで、そういった反省、課題も踏まえて、ネットワーク化加算というのをしっかりやっていきたいと。その上でいろんな他の施策を活用しながら、地域での集落機能の維持や強化、そういうのを図っていきたいと考えている。
(「中」に続く)