農水省)生活支援については別の交付金で推進していきたいということだ。中山間直払いについては、本来の制度を作った時の目的の農業生産活動を通じて営農していただくことによって多面的機能を発揮する、耕作放棄地を防止するという趣旨に沿って進めていきたい。
榊田)中山間直払いに関しては農業生産活動に絞る上では、生活支援はもう切るという方向で考えるということで考えでいいのか。
前島局長)切るとかいうと先鋭的になると思うが、今度、集落機能強化加算を止めるとして、生活支援的な部分を完全に切るわけではない。基礎的な単価に加えて、体制整備の部分が2割あり、この部分はまさにその体制整備として、生活支援的なものに当てていくというのは、それこそ設立当初からある。だが、残念ながらそこの部分が必ずしも十分に活用されていないので、集落機能強化加算というふうになったのかなと思うが、ただ、その生活支援を前面に押し出して、今回の運用のように、生活支援そのものが目的化してしまうと、これは農林水産省の施策として続けていくのは、私たちの行政の論理からすると農林水産省の役割として非常に続けていくのが難しい。これが例えば、この選挙期間中、何度も言われたように、例えば今の時点で農業予算は4兆円とかいうような状況で、いろんなことに使える状況なら、それはもっと上に上がってくるってこともあっていいのかなと思うが、残念ながら非常に厳しい財政状況の中で私たちもさまざまなところ、プライオリティーを付けながら予算を使っていかなきゃいけないっていう状況にある。いそういう中にあって、私たちがやってはいけないと思っているのは、私たちは中山間地域の振興を省の任務としている。だから、生活支援的なものについて、私たちはやりませんと宣言するのかと言われれば、それを宣言することはない。ただ、やはり、財政の論理として手を出しやすいところと、出しづらいところがある。できるだけ自分たちが支援できるところを少しでも続けられる形で。ただ、やはり私たちからの支援というのは、ものによるが、多くのものが、その立ち上がりの部分を支援する。立ち上がりの掛かり増し経費を支援するとかいうようになっていかざるを得ない。そういったものであるということを了解いただきながら支援していく。ちゃんと出口を考えてもらいながら支援をしていく。そういった姿勢が必要だ。だから、生活支援のところは、総務省や厚生労働省の助けを借りなきゃいけない部分はあろうかと思うが、だからといって私たちは関係ないということではなく、一緒になって、ことに当たっていく。そういう考え方だ。
榊田委員)一応、伺いました。はい。
図司委員長)私もコメントしておきたい。集落機能強化加算に関して、先ほどさまざま説明をいただき、局長からもかなり踏み込んだご発言があったが、やはり5年をどう捉えるかということが非常に重い。確かに役所の論理、政策遂行の論理として5年の中で年限を切って検証する必要性はあるが、一方で現場の流れからすると、試行錯誤しながらようやく5年みたいなところが実際だ。私が聞いているところでも、一つの事業を始めて形にしてようやく進んだというのが5年で、それから次のことにようやく乗り越えていって展開できるという、そういう段階だと思う。なので、必ずしも5年で成果がすぐ上がるかというと、私はかなりそれはハードルが高いという気がする。まして、先ほど局長からお話をいただいたような農地保全に関する農村RMOがそこを担ってくるということは、さらにハードルが上がってくるところだろうと思う。そういうことを考えると5年で、この加算(の成果)が出てないからというのは、かなり早急すぎる。当然その中での検証もあってしかるべきだったと思う。そういう意味ではかなりそこには疑義がある。RMOに関しても現場を回っていると、むしろ行政的な方針で、RMOが先に出てしまい、後から活動を展開させていくというケースもある。おそらく今回議論されているのは何もないところから立ち上がってくることをイメージしているケースが多いと思うが、私はむしろ逆かなという気がしている。組織ありきで回るかというと、必ずしもそういうわけじゃない。今回、連携という話が入っているので、その辺ある程度は視野には入っていないわけじゃないと思うが、何が言いたいかというと、かなりプロセスは多様だということだ。農地保全に至るまで、地域の力量が発揮されるまでには、やはりかなりいろんなケースがある。やはりケースを集めながらやはり5年という中での検証のタイミングをどういうふうに測っていくのかということも、これは今回の集落機能強化加算そのものの評価軸をどう取るかということも含めて、かなり準備しないといけないところではないか。これは委員としての責任も含めて感じた。やはり現場が、RMOが立ち上がっていても、かなり厳しい状況に入ってきているし、そもそもの遂行体制自体が、現場のサポート体制、役場そのものも厳しくなってきている中で、これは今度のネットワーク加算に若干絡むと思うが、体制作りみたいなことをやはり、今回の集落機能加算に関してもセットで盛り込んでやるべきところがかなりあったんじゃないか。そういう意味でも、加算措置、まあ年限を切ってという話になれば、なるほど、そこをできるだけこう現場が成果というか、形が見えるような体制をかなり重点的にやるというか、そのメリハリ付けが必要になる。おそらく加算措置を止めるというのは、私の記憶では今回初めてじゃないか。おおむね継続、名前を変えながらとか、少しバージョンを変えているというのはあるが、(廃止は)ドラスチックに見えてしまうし、今回(の加算廃止は)象徴的だと思うので議論するところはしっかりあるか。取りまとめの方法のところ、委員からもいろいろ(意見を)頂戴し、そのままでいいという話はなかったかと思う。まず、なんらか最終評価に盛り込む。あるいは修正が必要という認識で皆さんいかがか。
橋口委員)第5期対策の途中から集落機能強化加算に取り組んできたところには継続するという説明があった。新規の取り組みはもう認められないと。それが技術的な、何か予算編成上の技術的な問題でできないのか、それとも、集落強化加算に問題があったからできないのか。あるいは、そもそも集落強化加算の中身、先ほど生活の支援の要素を盛り込んでいる、その考え方自身が適切ではないという判断で、しかし途中から取り組んできたところは経過措置ということを含めてやろうということなのか。どれなのか、はっきりさせてほしい。
農水省)途中からという言い方はしてない。私どもの考えは、5期対策で、集落機能強化加算に取り組んでいるところは、経過措置で対応するということだ。
橋口委員)初年度から取り組んでいるところも含めてということか。それを新規のところがやれないというのはなぜなのか。この施策自身の方向性が適切ではないという判断だから新規のところは取り組めないということか。
農水省)予算要求の技術的なことを、この場でお話しても仕方がないのかもしれないが、来年度の概算要求について集落機能能強化加算というのは要求はしていない。ただ、いろいろ継続に対する声が上がったことを踏まえて、継続的に経過措置ができるように財政当局と調整しているということだ。
橋口委員)いや、このネットワーク加算の中で同じような仕組みでできるんであれば、新規のところも予算編成、技術上は、金額は多くなることもあるかもしれないが、それはできるのではないかと思うのだが。そうではなくて、この考え自身が不適切で間違いだったんだと、だけれども、やってるところはあくまでも経過措置ということで例外的に認めましょうという、お考えなのか。そうするとやっぱり集落機能強化加算そのものの考え方そのものが少なくとも現時点では適切でないと判断されていることではないかと思う。そうであればそういう説明がどこかにあってもいい。ただ、この現行の集落機能強化加算が当初の目的を達成してないから廃止する、継続しないというのが、この(農水省の)資料の説明だと思う。そこは本当に説明と内容が一致してないのではないか。
前島局長)そこは私は考え方が違う。決して集落機能強化加算の当初の狙いの考え方が間違っていたとは書いていないつもりだ。あくまでも、その後の取り組み方、これは主には私たちに起因しているわけだが、私たちの取り組み方が集落機能強化加算が狙いとしていたところをしっかりとかみ砕いて、4期対策の評価の場面とかでは言えなかった部分、そこはあの私たち行政がしっかり説明しなきゃいけない部分だと思う。この加算はずっと続くものではないんだとか、しっかりその出口を認識していただくとか、言うべきことを言わずに来た。それによって現場の取り組みが不十分なものになった。今回の運用上の問題点という形で、私たちの取り組み方に問題があったことは整理はしたつもりだ。決して加算自体が問題があったと、その当初の狙いに問題があったということではない。で、そうであれば新しいものもやったらいいんじゃないかっていうことに多分なるんじゃないかと思うが、その点については、やはり非常にそのそのまま取り組んでいくっていうことについては、ナローパスと申し上げたが、なかなかこれは正面からきちんと取り組んでいただくというのは、それこそハードルが高いのではないか。で、むしろ原点回帰するっていうことで言うと、なんでこの集落機能強化加算をやろうとしたかというと、その集落機能を強化する、その集落機能の強化という言葉が良かったかっていう問題があろうかと思うが、あの他の組織と連携をしたり、または新たな地域運営組織を立ち上げたりすることで、集落機能というか、この協定自体が強くなって、それで農業生産活動の継続につなげていく、これが、もともとそのわれわれが目指すべきところだったという考え方に立って、そうであれば、それを新しくネットワーク加算という形で取り組むべきではないかというのが今の私たちの考え方だ。
橋口委員)当初というのは、先ほどおっしゃっていたその地域運営組織設立、あるいは連携ということか。やっぱり生活支援に特化したような取り組みは、必ずしも目的じゃないよと、そういう認識か。
前島局長)そうだ。生活支援は、やはり長期間にわたってやっていくのが本来の姿だ。ただ、それが農林水産省の予算でそれを前面に押し出してできるのかというと、そこはなかなか難しいものがある。これはおそらく、始めた当時の携わっていた担当者は当然認識してしかるべきだったと思う。
橋口委員)もちろん全面的にと言いつつも、中山間直接支払いの枠の中だから、ちゃんと農地を保全するという活動が担保についていた上での生活支援ということだと思うが、これは本当にどうやって農地を守るのかっていうことの議論がもっと先にできればよかったのだが、私自身は農村地域、特に中山間地域では、営農と生活の一体性というのもあるし、やはり高齢者で車は運転できずに、なにか支援があって病院に行かないといけないけど、そういう人たちも、やはり水路清掃に出てきていただいたり、草刈りやっていただいたりして、それが全体として農地の保全につながっているとか、そういう関係性があるからこそ、今回、集落戦略では、ちゃんと生活面で不安がないかとか、そういうことも問うていた。私はそれは正しかったと思うので、そこをなかなか前面に押し出せないということだと、そこは本当に議論があるところだ。
飯國委員)私も全く同じで、ナローパスという話をされてきたが、まさに隘路(あいろ)に立っているので、難しいところだと思うが、その制度、加算ができた時に、少なくともこちらの農水省の中でも異論がなく、第三者委員会でもおかしいねという議論がなかった。そういう意味では、そういうところまで含めて集落をしっかり支えることが、農村を維持して農業を維持することに必要だという共通認識があったのではないか。そこを今回、もうこれはねダメだよって話になると、大きく変わって、手のひら返しと言うかどうかは別にして、大きく方向転換があったように感じる。4月以降(の議論で)、生産条件不利の是正という言葉がどんどん出てくる。それは前の年度はなかった。そこはそういう方にどんどん引きずられている。それが良いか悪いかはもう一度、議論する必要があろうとおもうが、そこで転換したのであれば、そのシグナルはちゃんと発信すべきだし、議論をすべきだったのではないか。局長が言うように、集落の要素が入って難しい制度になっているというのは全く同感だが、それは今後も火種になる。だから、きちんとその都度位置付けをしないといけない。それこそ現場が大きく根っこから揺さぶられる。役場の職員も困っているという声もよく聞く。
図司委員長)取りまとめ方のところだが、委員各位、私も含めて、最終評価に対して今日の議論を含めて修正が必要ではないかということだが、事務局どう捉えるか。
農水省)冒頭、説明させていただきました通り、私どもとしては最終評価を変えずに、この会については、議事概要を別途整理して公表すると考えているが、その点は委員長とまた調整して……。
図司委員長)申し訳ないが、私、今日は委員長預かりにしないつもりだ。こういう場なので、内々に決着は付けたくない。
前島局長)二つあると思う。一つは、私たちがもともと考えていたことだが、これはあくまでもあの農林水産省のペーパーだ。これが最終評価ではない。だから、これはこれとして、委員の皆さま方からの意見は意見としてまとめて、それが議事概要に載ると。そうすると、最終評価は最終評価としてあり、私たちの考え方は考え方としてあり、委員の皆さま方の考え方は、考え方としてあるという状態になる。それでそれぞれの意見が、しっかりオープンの場にさらされるということでいいのではないか。もう一つあると思っているのは、これはちょっと時間をいただかなければならないが、その最終報告書を書き直すというのもあると思っている。ただ、これは私たちの都合を申し上げて大変申し訳ないが、これから補正予算、そして(新年度予算の)概算決定に向けて非常に忙しい時期に入ってくるので、もし最終評価、最終の報告書を変えていくのであれば、お時間をいただかないといけない。で、今日の議論はいかなる形にせよ、もちろん当然、議事録は残すし、議事概要も残すので、第1案とそれほど変わるわけではないけれども、恐らくは最終評価書を、8月の評価書を書き直すとしても、そんなに大きく加筆修正することにはならないんじゃないか。これだけ(集落機能強化加算を)取り上げたから、こんなふうにいろいろ書いたのであって、もともと、半年前、一年前とかにちゃんと俎上に載せていれば、そんなにたくさんの資料を提出することもなく、報告書にはある意味、エッセンスを書くような形になってると思うので、大幅に書き換えることには多分ならないのではないか。これはあくまでも予想だ。できれば時間をちょっと頂戴することになるだろうということと、そこまでドラスチックに報告書を書き替えなきゃいけないっていうことにはならないのではないかと。これはあくまでも推測ですので、あの実際にやってみたらもうちょっと分量が変える部分が増えるということもあろうかと思うけれども、どちらがいいかということだ。できれば、図司委員長には、今断られてしまったが、そこをどちらの扱いにするかっていうのも含めて今、結論をいただくというよりは、委員長預かりにしていただいて、委員長を通じて皆さま方とも相談をしながらどちらにするかを決めていくという形が取れればなと思う。
図司委員長)局長から選択肢を提示いただいた。ボールは委員に投げ返してもらっているので、ここですぐ皆さんからご意見いただいて速やかに決まれば、その方向で行くのが一番透明性があると思うが、どうか。
榊田委員)私はもうお手数かけて申し訳ないが、やはり最終評価をもう一回見直していただければと思っている。というのは今日、出た議論は、すごく大きい問題だと思う。あの営農と生活を、この中山間直払いの制度をどう関連付けて考えるかというのは、非常に大きな点だ。その点に全く最終評価は触れていなくて、触れていないから私は変わってないと思ったが、今日、話を聞いていると、変わったんだっていうのがよく分かった。そこの部分についての議論、評価は、報告書にも入れないとさすがにまずいのではないか。
(他の委員から賛同の声)
橋口委員)私も評価を変える必要があるという点では賛成だが、今日だいぶ批判をしたので、この内容に私がおかしいと思っているというのは、もちろんご理解をいただいたと思う。ただ、議事録で残すということだけで代替するということになると、評価であれば、私たちは委員が意見が言える立場だ。だから、最終評価に対して、やっぱり意見を言いたいという気持ちはあるので、どういう意見を言うかというのはまた内容を見て考えるが、修正案が出てきたら、ぜひ、そうしていただければ。
星野委員)はい、取りまとめに関しては委員長にお任せしたい。
図司委員長)では、委員総意として最終評価、取りまとめを見直しということでお願いしたい。今日の意見を含めて、コメントをしっかり再評価に残すということも合わせて必要が増している。まずは面倒をおかけしますが、まずは(農水省の)事務局で検討し、手直しをお願いしたい。その上で、われわれもまた検討させていただきたい。共同取り組みそのものの本質に踏み込む、制度設計そのものの在り方に関する議論があったと思っている。そういう意味では、今回の加算措置を超えるかなり踏み込んだ内容になったかと思うし、今回の委員会の中では、そこは追いきれないところもあった。この部分はむしろ今後の課題として、ぜひ、現場の皆さんも含めて(意見を)出しながら、制度をよりよく進めていくことが非常に大事ではないか。それでは予定されていた議題は終了とさせていただいてよろしいでしょうか。
農水省)時間だいぶ過ぎたが、貴重なご意見ありがとうございました。これで閉会したい。本日はどうもありがとうございました。