八百屋は「不滅です」 80代から30代へ継承
午前11時、シャッターが上がると、30人以上が笑顔で開店を待っていた。近所の千葉舞さん(41)は、「コロナ禍で公園に行けなかった時、生後間もない娘を抱っこして八百屋さんでおしゃべりできたのがうれしかった」と振り返り、こう続けた。「みんなこの日を待っていました」
「丸新」を閉店した関沢元茂さん(83)は、東京・世田谷市場で仕入れる青果店経営者の最高齢。一方、継承する「清藤」の清藤太逸さん(30)は同市場の最年少だ。2人をつないだのは仲卸「遠國」で、清藤さんは、関沢さんと地域の思いを伝える1月30日の本紙記事を読み「開店への思い」を固めた。高齢化で青果店が姿を消す中、今回の継承劇は市場関係者の間でも大きな話題となっている。
店頭に立つのは社員の井川知憲さん(38)。買い物客が押し寄せる中、応援に駆け付けた関沢さんと3人で宣言した。「八百屋は永久に不滅です!」
(栗田慎一、写真=鴻田寛之)