日本農業新聞は、東京都内のスーパーで米の価格や品ぞろえなどの店頭調査を行った。新潟「コシヒカリ」や秋田「あきたこまち」といった家庭用の代表銘柄は、政府備蓄米放出前の3月より値上がりする傾向にある。一方、輸入米は5キロ3200円と値頃な価格で販売されている。割安なブレンド米は人気を集め、売り切れる店が目立つ。
調査は3月上旬と4月上旬の平日、東京都内のスーパー15店舗で実施した。4月上旬の店頭の状況を3月上旬と比較してまとめた。
5キロ袋で販売される主要銘柄米の価格は、新潟産「コシヒカリ」は5キロ当たり平均で4824円。前月比では15店中6店が216~540円、秋田産「あきたこまち」は7店で108~540円の値幅でそれぞれ値上げ。「コシヒカリ」は100円程度値下げした店もあったが、「あきたこまち」で値を下げた店はなかった。両銘柄とも欠品している店があった。
店頭に並ぶ備蓄米はブレンド米として販売されるが、割安なブレンド米は売り切れで値札しか残っていない店が多かった。
国産米が値上がりし、米の輸入が過去最高ペースで増える中、米国のカリフォルニア産米を扱う店も複数あった。価格は最も安い店舗で5キロ3218円。国産で3000円台の米は見当たらず、「安く買える備蓄米を入荷しないのか」と店員に訪ねる買い物客の姿があった。
政府は備蓄米を追加放出する方針で、4月下旬には3回目となる10万トンの入札を実施する。既に約21万トンを放出しており、今後、スーパーへの供給量はさらに増える見通し。
価格が下がる懸念が一部にある一方、大手スーパーの担当者は「備蓄米は入荷量がまだ少なく、他の米の価格を下げるほどの影響はないだろう」とみる。
(金子祥也、鈴木雄太)