
「でも、食の世界はスマホとは違う」と思うだろうか。いや、同じ方向になっていくはずだ。フィンランドの大手養豚企業・Atria社は、自社工場の電力を1キロ平方メートルものメガソーラーと風力発電で賄う。自国産穀物100%で飼料を調達し、豚肉生産のカーボンフットプリントは世界平均の半分程度を達成。飼育中には抗生物質を使わず、欧州連合(EU)基準より厳しい独自のアニマルウェルフェア(快適性に配慮した家畜の飼養管理)基準を守り、育てている。肉質は全体的に上品で適度なこくがあり、臭みなどなくおいしい。日本ではハンバーグで有名な大手チェーンが採用している。これは完全に「みどりだから売れた」のだ。
日本人は本来、環境負荷を減らす工夫を上手にでき、それを歓迎する国民性があるはずだ。そろそろグローバル企業だけでなく、国内でも「みどりで売る」生産者や企業が出てきてほしい。

1971年生まれ。農畜産物の商品開発や情報発信を手がける(株)グッドテーブルズ代表。新渡戸文化短期大学のフードデザイン学科長を務める。