[論説]JA大会の組織協議 多様な声を反映しよう
スローガンは「組合員・地域とともに食と農を支える協同の力~協同活動と総合事業の好循環」。食と農を基軸に地域に根差すJAグループの存在意義を確認し、命を支える食と農に対して国民理解を呼びかけ、行動変容につなげることを目指す。組合員の減少やJA合併が進む中、組合員との「対話」や「つながり」という原点を改めて確認し、①食料・農業②くらし・地域活性化③組織基盤強化④経営基盤強化⑤広報――の各戦略を実践する。
JAの強みは、総合事業を手がけ、地域の協同活動を担っていることだ。大事なことは、その中から多様な組合員・地域住民の声に応える「最適解」をどう提供できるかだ。組合員との対話を基にJAが幅広い提案をし、地域の営農とくらしを支えることが、協同活動と総合事業の好循環を生む。
今大会は、JAグループという存在意義や役割をアピールする絶好の機会と言える。その一つが、改正食料・農業・農村基本法だ。平時からの食料安全保障の強化という理念を具体化するには、JAグループの力が欠かせない。
人口減少に伴い、基幹的農業従事者の激減が見込まれる中、このまま手を打たなければ地域農業の将来は危機的だ。最重要課題となる担い手確保に向け、次世代への事業承継や相続の支援を強化する必要がある。担い手の要望に幅広く対応する営農・経済事業体制の整備が鍵となる。
農地の維持・確保は、今の担い手だけではとても対応し切れない。女性や中小・家族経営、「半農半X」、外国人など、多様な人材がともに活躍できる地域の姿を描きたい。労働力支援や農福連携などを進め、農に携わる人口を増やすことが求められる。
2025年の国際協同組合年は、JAをはじめ協同組合の価値を伝える重要なタイミングとなる。国際情勢に翻弄され、国内では格差や分断が広がる。今こそJAが持続可能な農業や地域に欠かせない存在として、協同の価値と役割を発信していこう。
JAには多様な役割がある。組織・経営基盤を強化するには、誰もが主役として輝ける“協同組合らしい”人づくりが求められる。そのためには女性や若者など多様な声に耳を傾け、改革に生かすことが第一歩となる。持続可能なJAへ議論を深めてほしい。