[論説]気象の極端現象 猛暑や豪雨 警戒怠るな
世界気象機関(WMO)が今後5年以内に、世界の平均気温が産業革命以前に比べ1・5度上回る確率を80%と推定するなど、今年も暑い夏が見込まれる。「エルニーニョ現象が終息しても、長期的な気候変動が止まるわけではない。地球は温室効果ガスで、今後も温暖化は続く」(WMO)と指摘する。
気象庁は、エルニーニョ現象は終息し、秋にかけてラニーニャ現象の発生が高いと予測。ラニーニャ現象発生時は、夏は暑く、沖縄・奄美地方では降水量が多めになる。気温の上昇は海面水温の上昇と、それによる水蒸気の上昇量の増加につながり、集中豪雨発生の可能性も高まる。
3か月予報によると、平均気温は高く、降水量が西日本では平年並みか多くなる見込みだ。ラニーニャ現象に近い海面水温分布となっており、西部太平洋熱帯域で海面水温が高い。またインド洋熱帯域でも海面水温が高く、これらの海域では積乱雲の発生が多い。この影響で、チベット高気圧の北東への張り出しがやや強くなり、日本付近は暖かい空気に覆われやすく、西日本を中心に太平洋高気圧による湿った空気の影響を受けやすくなると見込む。
気象庁によると、近年の猛暑は、これまでのパターンが当てはまりにくく、さまざまな要因が複雑に絡まり合うと分析。最新の気象情報に注意を払うように呼びかける。
気象の極端化が進む。線状降水帯を含む集中豪雨の年間発生回数は、1980年ごろに比べ2倍になっている。猛暑日となった年間日数(全国13地点平均)は94年から2023年の30年間平均で約2・9日、統計開始の1910年から39年に比べ約3・8倍に増えている。
梅雨末期は広範囲で大雨への警戒が必要だ。12日には愛媛県松山市内で土砂崩れが発生、住宅1棟が巻き込まれるなど被害者が出た。この3連休は、気象情報を活用し豪雨時の水田見回りは厳禁だ。
気象庁は、線状降水帯への警戒を半日ほど前から呼びかけており、早めの行動につなげたい。この時期の台風発生は平年は四つほどだが、今年はまだ二つ。秋雨前線の時期も含め、気象災害への備えは今から欠かせない。まずは猛暑を乗り切ろう。炎天下の作業は避け、室内でのエアコンを適切に活用しよう。気象の極端化は災害と心得たい。