[論説]協同組合間連携 生協と共に課題解決を
JAが実践する協同組合間連携で多いのが、地元生協との関わりだ。JA鹿児島県経済連とエーコープ鹿児島、生協コープかごしまは、共同で県産食材を主原料にした加工食品を開発し、「スマイリング商品」と名付けて県産県消を進めている。
JA福島中央会は県内の生協、地元業者と連携し、県産の大豆をみそやしょうゆなどに加工し、販売する「ふくしま大豆の会」の活動に取り組む。活動は25年を超え、長年の協同組合間連携が県内の農業を支え続けている。
気候変動が激しい中、農業を安心して続けていくためには、経営の安定が不可欠だ。JAと生協との合意に基づき、農家は環境に配慮した生産を行い、消費者は適正な価格で買い支えることで持続可能な農業支援に結びつく。
県域での協同組合間連携は、2012年の国際協同組合年(IYC)で勢いづいた。高知県の「協同組合連絡会議こうち」は福祉施設に食材を提供するなど、さまざまな協同組合との連携が強まり地域への貢献も進んだ。
日本協同組合連携機構(JCA)が7月に開いた第102回国際協同組合デー中央集会では、生活クラブ連合会の伊藤由理子顧問が、山形県酒田市やJA庄内みどりなどとの半世紀に及ぶ連携を紹介した。生活クラブの組合員が庄内地域に移住し、提携する生産者の援農に出向くなど、地域の課題解決に貢献。食べ続けることで縁が強まり、地域の活性化につながった。「食料を買う以外にも、地域や産地を支えられる」(伊藤顧問)と多様な連携の可能性を示した好事例と言える。農家と消費者という既存の枠を超えた連携を進めることが、地域の新しい未来をつくる。
JAと地域が連携し、「困りごと」を解決する取り組みも出てきた。広島市安佐南区伴・大塚地区は、増える耕作放棄地を解消しようと、JA広島市の理事・総代らが、地域農業の持続に向けた協働労働グループを設立した。
25年は、2度目の国際協同組合年。協同組合間連携で多様な人が農業に携わり、持続可能な地域づくりに貢献することが大切である。第30回JA全国大会の組織協議でも、地域課題の解決に行政や他の団体の他、協同組合間連携の必要性を指摘した。生協などとの協同組合間連携を一層、強めていこう。