[論説]きょうJA全国大会 原点回帰し価値発信を
大会議案の主題は「組合員・地域とともに食と農を支える協同の力」。第1回から70年以上となるJA全国大会の歴史で、主題に「組合員」が入ったのは初めて。組合員との対話を基にした運営や、地域住民との接点、関係を築くJAの原点に立ち返り、再確認しようという狙いがある。
目指すのは「協同活動と総合事業の好循環」。組合員の世代や暮らし方の変化に応じた多様な活動と、営農と暮らしを支える総合事業。この両輪がJAの強みだ。強みを最大限に発揮し、組合員が求める声に応え、JAの活動や事業に反映させ、地域住民、消費者らに「協同の輪」を広げていきたい。
肥料や飼料など資材高騰が長期化し、農業環境やJA経営の厳しさが増す中、正准組合員や地域住民、JA職員に対して農業農村、JAの未来像を示す時だ。大会議案で掲げた①食料・農業②くらし・地域活性化③組織基盤強化④経営基盤強化⑤広報の五つの戦略を実践することで、持続可能な地域農業につなげよう。
欠かせないのが、次世代の担い手だ。食料・農業戦略では、国産農畜産物の安定供給を通じた食料安全保障への貢献に向け、担い手の確保を重点に挙げた。そのためには農家所得の確保をはじめ、世代間の円滑な経営継承、女性や若者などが活躍できる多様な経営形態の参画、労働力支援などJAの担う役割は多い。
誰が農業、農村を守るのか。人口減少時代、深刻な人手不足への対応も欠かせない。組合員とともに、JAを支える職員不足にどう対応していくかは、全国のJAに共通した課題だ。まずJAで働く女性職員の管理職、経営層への積極登用を進めよう。協同組合を担う人材育成に加え、職員の多様な働き方を後押しする環境整備、業務の生産性向上や効率化を導くデジタル化の加速など、人材確保に向けた取り組みが不可欠だ。課題を洗い出すことが出発点となろう。
農地や地域コミュニティーを維持するには、多様な人材が活躍できる場をつくることも重要だ。移住者や「半農半X」実践者など、多様な人材を受け入れるJAとなれば、組織基盤に大きな変化をもたらすだろう。
大会決議の実践が始まる2025年は国連が定めた「国際協同組合年」。協同組合をけん引するのはJAだ。全国大会をその契機としたい。