[論説]フレミズ全国集会 豊かな食文化 次世代へ
フレミズはJA女性組織のの世代別組織で、20~40代の若い世代が中心となって活動している。30道県に348組織、メンバーは約1万2000人(2024年度)に上る。新型コロナが5類に移行したことで対面での活動が増え、新たな組織も誕生している一方、メンバー数は年々減少傾向にある。
近年では農家以外の参加者も増え、JAをよりどころにした活動をどう展開するか、新たな悩みも出てきた。交流集会での作文コンクール受賞作品から課題解決のヒントにしたい。
JA高知県女性部春野地区の近森陽子さんの作文テーマは、「フレッシュミズってなんだ?」。集まる目的があいまいで参加率も低く、一時は存続が危ぶまれたが、近森さんは受け身の姿勢をやめて、地域貢献や食でやりたいテーマを積極的に提案することで手応えを感じていったという。最高位を受賞したJA信州うえだ女性部真田支会の杉山那奈さんは、おやき、みそ造り、リンゴの収穫などを子どもたちと体験し、女性部や青年部と連携して食文化や農業を伝えることに意義を見いだした。
今回の全国集会のテーマを話し合った際、「原点に返ろう」との意見がメンバーから出たという。ウクライナ危機を発端に、各地で戦争や気象災害が日常となる中、日々の暮らしの豊かさや食の知識は当たり前にあるのではなく、きちんと生かし伝えなければという意識が強まっている。実際、「みそは何で造られているか」を知らない消費者も増えており、食の原点を知ろうとみそや塩こうじ造りなどが人気という。こうした地道な食文化の継承が重要だ。
フレミズの源流は、約50年前、地域の未来を担う若い女性たちから声を上げてほしいとの思いから始まった。女性部メンバーの高齢化は課題の一つとなっている。フレミズのネットワークを生かし、交流サイト(SNS)などを活用して、消費者や若者など多様な世代に呼びかけを強めてほしい。
JA全国女性協は昨年から、フレミズの先輩が失敗談も交えながら、活動の意義を伝えるウェブ講座を始めた。気軽に情報交換できる貴重な場であり、魅力を全国で共有したい。フレミズの参画は農業農村に変化をもたらす。JAはもっと積極的に支援すべきだ。