[論説]JA全国青年大会 農への思い 熱く発信を
今大会のスローガンは「NEVER GIVE UP!~新時代へ前進あるのみ~」。JA全青協の洒井雅博会長は「10年後、20年後の次世代の農業者のために、青年の情熱と協同の力をもって前進していこう」と呼びかける。
農業を取り巻く状況は厳しい。生産資材高騰が長期化し、昨年1月の能登半島地震からの復旧をはじめ、豪雪災害や温暖化、病害虫の発生など生産現場は未曽有の危機に直面している。だからこそ、地区大会で代表に選ばれたJA青年の主張、JA青年組織活動実績発表では、若い農業者の思いのたけを語ってもらいたい。
組織活動実績発表を行う北海道JA夕張市青年部の工藤凌司さんは、高齢化や後継者不足による農家減で、特産の「夕張メロン」の作付けが減少する課題に直面。そこでポリシーブック(政策集)には「高品質・安定出荷を目標にメロン作りに特化した青年部活動を行う」と明記。各部員の圃場(ほじょう)を見学し、品質を高め、ブランド産地を守る決意を示す。
青年の主張に出場する女性もいる。熊本県のJA鹿本青年部田原支部の原口美季さんは、男性ばかりの組織に戸惑いながらも、「地元の若手農業者と交流したい」と青年部に加入。国民の食を支え、素晴らしい農業を誇りに思うようになったという。性差を問わず、仲間と力を合わせることが求められている。
小規模経営を強みにした有機農産物の販路拡大やスマート農業の実践、障害者と共に取り組む「農福連携」、和歌山県内で梅とミカン産地のJA青年部が連携した労働力交換などのアイデアも光る。こうした若者ならではの工夫や知恵を全国に広げよう。
課題は、地域で減り続ける青年部員をどう増やしていくかだ。JA青年組織の部員数は2024年4月時点で4万6585人。前年と比べて1689人減となり、歯止めがかからない。こうした中、三重県のJAいがふるさと青年部や、福島県農業協同組合青年連盟は部員を増やしており、参考にしたい。
全青協は農政や国民理解の醸成に向け、多彩な活動を展開する。米需給の逼迫(ひっぱく)で国民の農業への関心は高まっているだけに、若手農業者の熱い思いに注目が集まっている。青年大会を発信の好機と捉えよう。