例外もあります。1月の肉肉学会のテーマ「伊賀牛」は、生産農家と地元の肉屋さんの間で「生体取引」され、肉屋さんが一頭買いした伊賀牛は自ら売り切り、8割以上が地元で消費されます。このため、卸売り、仲卸という段階はありませんし、流通を前提とした格付けもされていませんでした。
そんな伊賀牛のお肉屋さん「肉の伊藤銀座店」の下村一成社長から、伊賀牛とは異なる和牛の流通を東京市場で勉強をしたいとの要望があり、(株)門崎の千葉社長が朝から晩までの「江戸のお肉の勉強会」を企画してくれました。
見学した月曜日の東京食肉市場は、全国のブランド雌牛が集結する日。松阪牛などが次々にセリにかけられていく様子を拝見したあと、仲卸をされている(株)吉澤畜産さんの渋谷真実主任の案内で枝肉冷蔵庫、カット室などを見学させていただきました。吉澤畜産さんは東京における松阪牛のブランド確立に大きな役割を果たした会社で、一流の料理店や精肉店に、それぞれのニーズに合わせた熟成度合い、部位を届けることで和牛のブランド作りの一翼を担う役割を果たしています。
午後は人形町今半本店の精肉売り場へ。今半さんも目利きのバイヤーが東京市場などでブランド雌牛を購入し直営のすき焼き店や精肉店で提供し、用途に合わせたきめ細かい価格設定やお客様への説明など、和牛の美味しさを伝えています。
食肉のプロたちが和牛の価値発信とブランド作りに貢献されている姿を学んだ一日でした。
元農水省畜産部長
原田英男