
同センター本部は、06年に県の農業振興の拠点として開所した。検査する農林水産物は生産者から県が集めた、販売する品目のサンプルだ。これを職員が細かく手作業で刻んで専用の容器に詰め、放射性物質測定装置で放射性セシウム濃度を測る。
結果は、県のホームページですぐ公表される。基準値を超える放射性濃度が検出された場合、県や国が出荷の自粛・制限などの対策を取り、流通することはない。同センター安全農業推進部の岡崎一博部長は「15年以降、適正に栽培管理された農産物で基準値を超えたものはない」と話す。
積み重ねた検査結果は、風評被害の打破に着実につながった。事故後、55の国と地域が同県からの輸入を規制したが、現在までに41の国と地域が規制を撤廃。そのよりどころとなったのが、入念な除染作業と、センターなどが示した科学的な検査結果だ。今年2月には、震災前に主要な輸出先だった台湾が、11年ぶりに福島県と関東4県からの食品の輸入を条件付きで再開した。
しかし、定着した風評被害は根深く、福島県産の農産物は国内のライバル産地よりも安く取引されている現状がある。
岡崎部長は「品質の高い県産農産物の安全性を発信し、国内外問わず福島ファンを増やしていきます」と力を込める。(釜江紗英)
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