[あんぐる]光うららか、葉ふんわり 春キャベツ(千葉県銚子市)
「この冬は寒波と乾燥で苦戦したね」と話すのは生産者の鈴木敏雄さん(61)。「苦労の分だけ毎年、収穫が待ち遠しい」と笑顔を見せる。
関東最東端に位置し、三方を太平洋に囲まれた同市。夏は涼しく、冬は暖かい気候がキャベツ栽培に適しているとされ、潮風に含まれたミネラル成分が畑に降り注ぐ。同地では夏のトウモロコシ栽培を挟んで「寒系」と「春系」に大別されるキャベツの両方を生産。作付面積は市域の延べ18%を占め、春系の収穫量は8万トンに及ぶ。
キャベツは越冬時、自らを凍らせないよう糖質を蓄える。そのため、春キャベツは甘みが深い。銚子産は葉の「巻き」が緩く柔らかいのが特徴。サラダなどの生食に適し、さっと火を通すとさらに甘みが増す。
JAちばみどり営農センター銚子によると、同地でキャベツ作りが始まったのは1953年。以前はサツマイモと麦類が畑作の中心だったが、サツマイモは価格の変動が激しく、麦は病気にかかりやすく収量が安定しない課題があった。
キャベツ栽培の起こりは、市内の野菜の仲買人が、東京・上野の駅前でキャベツと炒めた焼きそばを食べたのがきっかけと伝わる。
57年にはJAが出荷する銚子産を、犬吠埼にあやかり「灯台キャベツ」としてブランド化。現在では東北から関西方面まで広く出荷している。(仙波理)
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