県内の桃栽培は1900年、旧白根町(現南アルプス市)に岡山県から導入したのが始まりとされる。養蚕が盛んだった山梨県では、昭和初期の世界恐慌で繭が暴落したのをきっかけに、新たな品目として桃の栽培が広がった。甲府盆地の東側にある笛吹市は扇状地で、長い日照時間や昼夜の寒暖差、水はけの良い土壌が果樹栽培に適したことから、現在の産地を築いた。
市は2013年、作付面積が全国の15%を占め日本一となったことを記念し、「日本一桃源郷」を宣言した。
市内のJAフルーツ山梨の春日居支所管内では、全ての桃に袋をかけて栽培。市場から高い評価を受ける。

「白鳳」や「夢みずき」など8種をリレーして栽培する同支所果実部、果実部長の荻原明人さん(67)=写真上、一緒にいるのは妻の美代子さん(65)=は「今年は好天で作業が順調。災害がなければ、高品質な桃を消費者に届けられそうだ」と胸を弾ませる。市内の露地栽培の桃は、6月中旬から出荷が始まる。

花の時期に果実はないが、産地ならではの加工品が味わえる。笛吹市で菓子を製造するプチ・プラムは、JAふえふきの共選所や農家から集めた規格外の桃を使った「生桃ジュレ」(1個432円)=写真上、3層のグラデーションが美しい=を通年で販売。年間約6万個を売り上げる人気を呼んでいる。(木村泰之)
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