想像以上の“大漁”だ――。水田が広がる四街道市の農業用水路に7月中旬、集まった県の職員3人が声を上げた。この地域はカミツキガメの生息密度が高い。2日前、水路や河川に23基のわなを沈めた。20頭を捕獲、カミツキガメを入れるコンテナは満杯になった。最大のものは甲羅が直径27センチ、重さ4キロもあった。
わなにかかった生き物は全て記録する。特に餌となるアメリカザリガニが多く見つかったわなは、カミツキガメが好む場所とされるからだ。
カミツキガメは、北米から南米が原産地。日本には1960年代、ペットとして持ち込まれた。県内では78年、佐倉市で初めて生息を確認。現在、印旛沼流域の河川や農業用水路に定着する。
大型で雑食、凶暴で素早い。水田のあぜを崩すだけでなく、農家にかみついて大けがを負わせる恐れもある。05年には特定外来生物に指定された。
カミツキガメの駆除に向けて県は、07年度から20年度までに1万3072頭を捕獲してきた。県内では19年度末、約6500頭が生息するとされる。
特に17~19年度、佐倉市や四街道市など印旛沼水系の河川や農業用水路などで広範囲に集中駆除したことで5285頭を捕獲した。
19年度の推定生息数に対する捕獲率は18・2%。自然増加率の15%を上回った。当面、推定生息数の18・2%ずつ毎年捕獲して、個体数を減少させて根絶を目指すことにした。県自然環境課生物多様性センターの小野知樹主幹は「駆除と並行した生態の研究で効率的に捕獲を進めたい」と話す。
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