宮城農高は、水稲の肥料削減を目指し、肥効発現が遅いウレアホルム肥料に着目。根張りが改善し食味も向上、肥料費を8割近く削減する成果を収めた。メーカーと商品化に動いている点も評価。代表の阿部快海さん(3年)は「追肥や根の分析が大変だった。みんなで喜びを分かち合いたい」と語った。
父が肉牛肥育を営む南條さんは、資材高を受けて自ら牧草を育てる粗飼料作りに挑戦。水害を乗り越え、繁殖農家への低価格販売を実現したことを語った。「家族に喜びを伝え、経営を支えてゆきたい」と決意を述べた。
大会のプロジェクト発表と意見発表では、I類のほか、II類(国土保全・環境創造)、III類(資源活用・地域振興)の3分野で競った。
プロジェクト発表はII類で長崎県立諫早農高、III類で宮城県農高が最優秀の文部科学大臣賞に選ばれた。
諫早農高は、放置竹林の解消と、特産のジャガイモの防疫を目指した。大学と連携し、竹パウダーによる抑制効果を証明して国内外で発信。代表の下川恋々菜さん(バイオ園芸科3年)は「女手一つで育ててくれた母に報告したい」と語った。

もみ殻をバイオ炭にして二酸化炭素(CO₂)削減や米の増収につなげた宮城県農高は、J―クレジットを取得。地域農家への普及も進める。庄子怜未さん(生活科2年)は「多くの期待を背負ってきたので安心した」と話した。
意見発表ではII類で星碧虎さん(宮城県農高3年)、III類で平光紗緒理さん(山形県立置賜農高3年)が頂点に輝いた。
和牛農家で育った星さんは、牛のメタン排出量削減に挑んだ経験や、実家を環境保全型牧場として世界に発信する夢を紹介。「牛舎で牛に原稿を聞かせて練習した。(メタン排出という)牛の汚名をそそぐ」と誓った。
平光さんは「見つけた! 豆の町で広がる愛の輪」と題し、未利用地で親子たちと子ども食堂で使う野菜を栽培した体験を話した。「県大会で敗退した昨年の雪辱ができた」と笑顔を見せた。
受賞ラッシュとなった宮城県農高の須田和行教諭は「生徒の話をよく聞き、まずやってみようと促すよう心がけている」と述べた。
家畜審査競技は愛媛県立野村高校畜産科3年の富永太陽さんが最優秀の農水大臣賞を受賞した。

日本学校農業クラブ連盟会長の加藤麗奈さん(東京都立農産高校3年)は「日頃の努力、農業クラブ員の絆を感じる大会だった」と振り返った。来年度の第76回全国大会西関東大会は、山梨、東京、神奈川の3都県で開く。
上記以外の最優秀は次の通り。
◇平板測量競技=群馬・吾妻中央高(金子泉輝、田村太一郎、山田佳慧、辰己路藍)
◇農業鑑定競技
▽作物=上野千夏(新潟・高田農高)
▽野菜=内田大稀(福岡・八女農高)
▽果樹=白石真子(新潟・加茂農林高)
▽草花=清水麗士(同)
▽畜産=寺下幸太朗(大分・宇佐産業科学高)
▽食品=細野颯太(岐阜・岐阜農林高)
▽森林=伊東和志(熊本・南稜高)
▽農業土木=見陣琥太郎(佐賀・佐賀農高)
▽造園=伊藤優弥(熊本・北稜高)
▽生活=芥川聡(徳島・城西高神山校)
(山口圭一)