<最新>農地への広範囲な冠水や、土砂の流入 鹿児島・沖縄豪雨の被害
「種をまき直すことになるかもしれない」。雨が小康状態になった11日、与論町産業課の担当者が不安そうな声でいった。
インゲンマメ産地の同町は2023年度、20ヘクタールで150トンを生産。今年も9~11月に同規模で種をまいたが、ほぼ全てが泥水に漬かったという。露地やハウス栽培ともに根腐れする恐れがあり「水が引いた後に見定めるしかない」としている。
サトウキビ畑が多い島西部の茶花地区では、最大で7メートル冠水し、一部の畑では穂先まで水没した。担当者は「サトウキビがこれほど深く水に漬かったのは初めて。どんな影響が出るのか分からない」と語った。
気象庁によると、奄美と沖縄本島周辺で9日、線状降水帯が発生。1時間に100ミリ前後の猛烈な雨が降り、同庁は11月では初めての大雨特別警報を出す異例の事態となった。
鹿児島県の被害まとめでは、与論町で20棟が床上浸水した他、複数の崖崩れを確認。沖縄県によると、名護市など3市村で計10棟が床上浸水した。複数のサトウキビやパイナップルの畑が泥水に漬かり、のり面の崩落などで土砂が流入したという。同県東村によると、10月下旬から作付けが始まったカボチャ畑の4分の1ほどが冠水し、被害の確認を急いでいる。