同県はホオズキの生産量全国1位。ホオズキタワーを作る産地は他にもあるが、通常は高さ1~2メートル。高さ7メートル、底面の直径2メートルの豪華さは唯一無二だ。

きっかけは2020年、新型コロナの流行で花きの売り先がなくなったこと。JA南部エリア営農経済管理課の加嶋さんが「花の生産者を支援したい」と考える中、「ホオズキで世界一のタワーを作ろう」と巨大タワーの制作をひらめいた。
企画だけでなく設計、製造、搬送、PR全てを加嶋さんが担当。毎夏、市の補助金を活用してホオズキの実1万個をJAで買い取り、木製の骨組みに取り付ける。タワーの回りに並べるピラーは、正品出荷できない実を使用。市の農福連携事業を使って切り開き、1000個ずつ、計1万3000個分を加嶋さん自ら取り付ける。
8月に佐伯市役所で制作・展示した後は、大分空港など県内各所を巡回。年末に東京タワーに向かう「旅するほおずき展示キャラバン」のルートが確立した。実は時間がたつとドライになり、味わい深い色に変化する。
東京タワーでの展示は今年で3年目。昨年は3日間で4万人が来場した。観賞しながら写真を撮るだけでなく、会場でプロポーズする人も出たという。
一連の動きに「最初は不思議そうな顔をしていた農家も、今は『頑張ってね』と喜んで声をかけてくれる」と加嶋さん。「ホオズキはお盆だけでなく、オブジェとして一年中楽しめる。言いようがなく美しいホオズキの色をぜひ見に来てほしい」と呼びかける。