[大阪・関西万博]福島こんなに魅力的、農家ら先進技術発信 経産省・復興庁が企画展示
アンスリウム50種などを手がける花き農家のsmilefarm(川俣町)は、土を使わずに古着などの繊維くずをリサイクルした媒地で栽培する。来場者には実際の資材を触ってもらい、軽さや水分保持力などの特徴を説明した。奈良県から来た70代女性は「こんな資材があったのを初めて知った。園芸が好きで家で花をよく育てるので使ってみたい」と興味を示した。
同社代表の谷口豪樹さん(37)は、福島第一原子力発電所事故の影響で地元を離れた義父母が、避難先で農業を続ける姿に感銘を受け就農した。「川俣の農業の魅力や力強さを発信して、次世代の担い手に憧れられる職業にしたい」と語る。
ミニトマトの試食販売でにぎわったのがワンダーファーム(いわき市)だ。ブースでは農機メーカーと共同開発する収穫ロボットを展示する他、葉やもみ殻といった廃棄物を原料にしたプラスチックや燃料などの取り組みも説明。代表の元木寛さん(49)は「これからの農業に可能性を見出してもらえるはず。ぜひ農業者にこそ来てほしい」と意気込む。
展示は経産省と復興庁の共同開催で、会場はEXPOメッセ「WASSE」。「東日本大震災からのよりよい復興」をテーマに掲げる。復興庁は19日から、岩手、宮城、福島3県の震災伝承や食・農業などに関する取り組みをパネル展示や試食などを通じてPR。経産省の担当者は「被災で大変な東北、というイメージで認識が止まっている人も多い。万博を機に現在の魅力を感じ、東北に足を運んでほしい」と話す。
(島津爽穂)