福島沖地震 イチゴ被害「想像以上」 相馬市で高設ベンチ崩落
7アールに建つ大型ハウス4棟でベンチ128列のうち80列が被害を受けた。落下した部分のイチゴはベンチ修復のため除去・廃棄せざるを得ない。激しい揺れによる擦れで傷んだイチゴも多かった。
同組合は完熟を売りとする。「こだわりが命取りになった」と齋川組合長。復旧作業で1日収穫できず、過熟したイチゴがあちこちにぶら下がっていた。
和田地区は11年前の津波で、2・5メートル浸水した。地区のイチゴ農家は3分の2が離農し、残った6人で組合を設立。土耕から高設栽培に変え、入園者は年2万人を超える産地として定着したが、新型コロナ禍で客足が遠のいた。まん延防止措置が6日解除され、客足が見込める矢先だった。
地震発生後、齋川組合長は午前0時に懐中電灯を手にハウスへ走った。1年前の福島県沖地震の時もそうだった。ライトを照らし、目に飛び込んだのは数え切れないほどの波打ったベンチ。被害は1年前より大きかった。確認作業は同2時まで続いた。
17日午後5時に電気が復旧。齋川組合長は18日、集まれたパートと何とか箱詰めして直売所を再開した。客数はいつもの半分だが、約70人が並んだ。60代男性は「心配で来た。スタッフの顔を見て安心した」と話した。
「大規模地震の発生間隔が短くなっている」と齋川組合長。大地震に耐えられる施設整備の見直しを検討する考えだ。
福島、宮城で断水 復旧1週間程度
福島県沖で16日深夜に発生した地震によって18日、宮城県大崎市や福島県相馬市など両県10市町で計4万4000戸の断水が続き、自衛隊が給水活動を行った。厚生労働省や自治体によると、完全復旧には1週間程度かかる見通し。
断水は送水管の損壊が主な原因。酪農など水を大量に必要とする農業の現場では、地下水利用などによる応急対応が続く。
一方で関東、東北の広域停電はこの日、宮城県内の500戸を残し解消。死者は関連死を含め福島、宮城両県で4人、負傷者は12県179人となった。
常磐道など高速道路の通行止めは18日正午までに全面解除。東北新幹線は那須塩原―盛岡間を除く区間と、山形、秋田両新幹線は東北新幹線と接続するまでの区間で折り返し運転が続いている。
家は「窓ガラス粉々」 市のスポーツ施設に69人
16日深夜に発生した地震によって、福島県内の各地に避難所が開設されている。相馬市の避難所・スポーツアリーナそうまでは、18日午前11時時点で32世帯69人が避難していた。市内で1人暮らしをしている山本珠實さん(89)は、「食器棚などが倒れ、窓ガラスも粉々になった。危ないと思い連れてきてもらった」と話す。
この避難所では、新型コロナウイルス感染予防とプライバシーの確保のため、2メートル四方のテントを56基設置。検温器や消毒用のアルコールも置いた。
県内では地震によって一時、98カ所の避難所が開設。350人を超える住民が避難していた。県によると18日午後2時時点で120人が避難している。 動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
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