日本酒の常識破り“脚光” 栃木県の蔵元 透明タンクにLED照射、味わい自在
日本酒造りは一般的に光を避ける。杜氏(とうじ)が意図しない品質の変化を防ぐためだ。タンクはほうろう製が主流で、発酵状態は上部からしか確認できない。業界の常識に、同社の西堀哲也さん(31)は立ち向かった。
日本酒は、こうじ菌や酵母が酸素と多く触れるほど発酵が進み、辛口で酸味が強まる。一方、発酵を抑えると甘口でフルーティーな味わいとなる。
波長が長い赤い光が酵母の増殖を促すという論文を読み、「逆に波長が短い青い光を当てると発酵が抑えられるかも」と考案。透明なタンクで試すと、赤い光は発酵が進んで辛口、青色は発酵が抑えられて甘口になった。
2019年、透明タンクでの酒造りの特許を取得。県産米「あさひの夢」が原料の「イルミナ」シリーズは、1500リットル入る透明な樹脂製タンクにライト4基で約20日間照らし続ける。
赤と青の中間の波長を持つ緑色の光を当てた新作について、西堀さんは「芳醇(ほうじゅん)な米のうま味にあふれた味わいになるとよい」と話す。
透明タンクの酒造りは省力化も期待される。西堀さんは「杜氏が少ない中、経験が多くなくても、タンク全体の発酵状態を判断できるようになる」と語る。
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