新米の季節が訪れ、今年も全国各地で、稲作農家が手間と技を尽くした米ができました。稲作を取り入れたゲームが原作のアニメ「
天穂のサクナヒメ」とコラボして、新米ができるまでの道のりと、作り手の工夫や苦労をたどります。
アニメ「天穂のサクナヒメ」の主人公、豊穣神「サクナヒメ」は、仲間たちと稲作の数々の工程を学び、実践していきます。現実の農家も、天候や病害虫などと闘いながらも工夫して栽培しています。それぞれの歩みをたどると、新米が出来上がるまでには、作り手の地道な作業が欠かせないことが見えてきます。
米作りの今 適正な価格が重要に
米の収穫量を確保し、安定的に供給するため、稲作農家は肥料や農業機械といった生産資材を活用します。ただ、原材料費の高騰を背景に資材価格は上がり、農家の負担は増しています。さらに病害虫や害獣からも米を守る必要があります。厳しい状況の中でも稲作を続けるため、重要になるのが米の価格です。農家の収益が確保できるだけの値段水準が求められています。
農水省が毎月公表している生産資材などの価格動向「農業物価指数」によると、2020年を100とした指数で、肥料は7月時点で139・1。2カ月連続で上昇しています。高温下でも稲の生育を落とさないよう、今年は追肥を増やす動きもあり、肥料価格の上昇は農家の負担になっています。
稲作に欠かせないトラクターや田植え機、コンバインなどの農機具の指数は109・4。前月から1・7%上がり、過去最高となりました。使用年数を重ねた機械は更新しなければならず、農家には厳しい状況になっています。
一方、農家が米を販売して受け取った価格の指数は95・2。基準の20年を下回り続けています。
稲作は病害虫との戦いも避けて通れません。最近は、もみの中身を吸ってしまうイネカメムシも多発し、収穫量を確保するには、生息地の水田周辺の草刈りや薬剤防除が重要になります。
山間部に近い水田は、シカやイノシシといった鳥獣害にも警戒が必要です。農水省によると、水稲の鳥獣被害額は22年度時点で、約32億円に上ります。多くを占めるイノシシ被害は減少傾向にありますが、依然として5割強を占めています。食害や踏み倒しといった被害から稲を守るため、農家は防護柵で田を囲うなどして対処しています。
米を含む食料を生産するためのコストが増す中、農水省は「合理的な費用を考慮した価格形成」(新事業・食品産業部)のための仕組み作りを検討しています。農家を含む生産・流通段階のコストの”見える化”、コストを考慮した取引の実施などを目指し、実態調査が進んでいます。
天穂のサクナヒメ いよいよ最終回
「天穂のサクナヒメ」は米作りをテーマにした和風アクションゲームが原作のアニメ。神々の都を追放されたサクナヒメが鬼と戦いながら仲間と稲作に挑戦し、食べ物を得ていく。悪戦苦闘しながらも、次第に「食する者が喜ぶものを作りたい」と思うようになり、稲作を通じて成長していく。
力仕事や工程も多く、最初は「いやじゃ」と泣き言を口にしていたサクナヒメ。「いい米を作るというのは、それだけ手間がかかるということ」と説く育て役のタマ爺や仲間と協力し、収穫の喜びを知っていく。
▼テレビ放送の時間帯と放送局は次の通り。毎週土曜日午後11時の放送地域は、28日に最終回を迎える。
▽毎週土曜日午後11時=テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送
▽毎週火曜日午後9時半=AT-X
▽毎週金曜日午前1時29分=熊本県民テレビ
▽毎週月曜日午前2時(毎週2話ずつ、最終回のみ1話)=富山テレビ放送
▽各種動画配信サービスでも配信中
(C)えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会
日本農業新聞は、稲作を取り入れた人気ゲームが原作の夏アニメ「天穂 のサクナヒメ」に関連したさまざまな記事をお届けします。一から稲作を学ぶ主人公「サクナヒメ」とともに、農業や食べ物の大切さを改めて探っていきます。