野菜
キャベツ春秋に高騰

6月は、結球類や果菜類に潤沢感が出て前月に比べると落ち着いた取引となったが、平年(過去5年平均)は上回って推移した。
7月以降は厳しい暑さや長雨の影響による生育不良が多発。高温による花落ちが発生したトマトや、雨で傷みが発生したピーマンなど果菜類の品薄が目立った。9月は気温高でサラダ商材として需要が高まったレタスの不足感が強まった。
例年は各品目とも出回りが安定して相場が落ち着く10月以降も、今年は秋まで長期化した高温で異例の高値が相次いだ。11月にトマトは平年比2倍の高値を記録。キャベツは、不作の中で加工筋からの引き合いが強まり11月全体で平年比2・5倍と高騰した。12月以降も不足感は解消されず、下旬に日別で平年比4倍となる過去最高値を更新した。
果実
年間通して全面高に

6月は平年並みの相場に落ち着いたものの、サクランボは着果数の減少や双子果の発生などで取引量が同5割減。季節の果実で需要は高く、同2割高となった。増産が続くブドウ「シャインマスカット」は8、9月に数量が潤沢も、価格の下げは小幅と健闘した。
夏場の猛暑などで10月以降は多くの品目で不足感が一層強まった。ミカンは品薄高が3カ月続く。極早生種から出回りが少なく、9、10月は同4割高。主産地の裏年傾向に加え、日焼け果などの発生で正品率が低下した。
リンゴは11月に同4割高と高騰。晩生種へのリレーが乱れ端境となった。出回り始めは着色遅れや正品率の低下も見られたものの、季節の果実として引き合いはあり、年内は高値が続いた。
切り花
生育乱れ変動激しく

3月は歓送迎需要に加えて春の彼岸も重なり全面高だった。暖冬からの急激な冷え込みで生育が鈍化。ガーベラが過去最高値を更新し、1本90円を付けるなど高騰が目立った。
5月は、大型連休明けの「母の日」で、カーネーションは盛り上がりに欠ける相場だった。一方、菊類は先行産地の切り上がりが早く端境が長期化。「母の日参り」需要もあり、高値を付けた。6月は梅雨入りの遅れなどで生育が前進。潤沢感から輪菊は20円台を記録し、主要15品目平均も平年を下回った。
7~9月は梅雨明け後の猛暑を受け、生育不良が目立った。和花は需要期に品薄が顕著となり、物日の後も高値が続く異例の相場となった。秋以降も高温で出回りが減少。洋花は秀品率が低下した。気温が下がっても数量の回復は遅く、年末まで全面高が続いた。
畜産
牛苦戦、豚・鶏卵は好調

和牛の建値となる東京食肉市場の和牛枝肉の加重平均価格(A5、去勢)は、年間を通して平年を下回った。例年、大型連休需要や夏場の外食需要で相場は上げるが、今年は8月まで右肩下がり。8月は新型コロナウイルス下で大幅下落した20年同月も下回った。
最需要期の12月(25日時点)は1キロ当たり2750円。「年末年始需要に向けて例年より早い11月初旬から相場が上がり始めた」(市場関係者)が、前年をわずかに下回った。
豚は夏の暑さで生産頭数が減った一方、高騰する輸入品の代替需要で引きが強まった。5~8月は枝肉加重平均価格が1キロ当たり700円(東京・上物)を超える高値で推移。7月は同831円で過去最高値を付けた。
比較的安価な鶏肉は家庭用、外食ともに堅調だった。鶏卵は需給調整や暑さで出回り量が減り、JA全農たまごの平均価格(東京地区・M級)は9月以降、平年比2割高。加工・業務需要も回復した。