調査は米卸や米穀店、百貨店、スーパーなど45社の回答を得た。
期待する高価格帯銘柄は、昨年デビューした秋田「サキホコレ」が初めて、山形「つや姫」と並んで首位となった。デビュー後発で競合品種は多いが、食味の良さへの評価は高く米業界で話題の品種だ。甘味や冷めても続くおいしさ、ご飯の白さなどが評判。高級路線でこだわり米を扱う米穀店などで販売する。生産量を今後拡大する中で、高品質と高価格販売が継続できるか注目だ。

山形「つや姫」はブランド米の評価が確立され、20、21年産の米価低迷時でも価格を維持。本紙調査で4年連続1、2位に入る。「新之助」は新潟という産地ブランドや粒感、食味の良さで順位を上げ、北海道「ゆめぴりか」に並ぶ3位。青森「青天の霹靂(へきれき)」も上位に入った。一方、節約志向も影響し、「期待する新銘柄はない」の回答も多かった。

パックご飯に期待
高い需要が見込める商品は、パックご飯が首位。簡便・時短志向は長期傾向とみて、市場拡大は続くとの見方が多い。食品ロス対策として外食の期待も挙がった。同じく簡便性から冷凍米飯は2位。3位の玄米・雑穀商品は、新型コロナウイルス下で健康志向が高まったとの指摘が多い。“プチぜいたく”需要の高まりで、高級・こだわりおむすび(5位)も上位に入った。

米の消費拡大策は、首位が「健康への貢献をアピール」、2位が「交流サイト(SNS)を通じたご飯食のPR」で前年と同じだった。3位の「環境に優しい栽培方法など持続可能な開発目標(SDGs)の観点からのPR」、4位「時短料理の紹介」は順位を上げた。
価格転嫁に課題
上昇する原料代・諸経費の販売価格への転嫁状況は、「少し転嫁」が71%で最多。「ほとんど転嫁していない」が9%だった。転嫁が一部にとどまる理由は「値上げを要望したが、取引先(消費者)が受け入れなかった」が半数を占めた。適正価格の実現へ米業界が取り組むべきことは「食料安全保障の観点からの情報発信」が77%と最も多く、「栄養的価値やおいしさの魅力発信」(38%)、「環境配慮や持続可能な社会への貢献」(同)が続いた。
■記者の目■
「つや姫」と「ゆめぴりか」が優勢のブランド米勢力図に、「サキホコレ」の登場が変化をもたらすかが注目だ。一方、米のおいしさが当たり前となった今、おいしさだけで米の販売を活気づけるのは難しい。「おいしさ+アルファ」の視点で、「簡便さ」「健康」など根強い消費者ニーズに沿った商品開発が欠かせない。(玉井理美)