今年の牛乳・乳製品販売の注目カテゴリーや、価格改定後の販売予測について、乳業メーカーや小売企業など25社から回答を得た。
22年に比べ、最も消費が伸びそうなカテゴリーは、新設した「国産チーズ」と、昨年2位だった「乳酸菌飲料」が得票率44%で、同率トップとなった。2年連続首位のヨーグルトは3位に後退した。
国産チーズで最も多かった選択理由は、「輸入品が高騰し、国産の商機が拡大しているから」だった。世界的な乳製品需要の高まりや、主産国の減産による輸入品の高騰で、国産に目を向ける流通業者が増加。つまみ、料理と消費場面も拡大する。

乳酸菌飲料は、乳製品に対する健康ニーズの受け皿として存在感を高めている。
睡眠の質の改善やストレス緩和といった機能性が評価され、空前のヒットとなった「ヤクルト1000」を筆頭に、乳製品が持つ健康面の価値に改めて注目が集まった。選択理由でも、「消費者の健康志向に応える商品だから」が最多となった。
健康機能を重視

牛乳・国産乳製品の「付加価値」として重視する項目(最大二つ選択)では、「健康機能性」と「産地指定」が得票率52%で同率1位だった。健康機能性はメーカーや小売りなど幅広い層から票を獲得。産地指定は生協や食品の電子商取引(EC)からの注目度が高い。
価格改定で懸念
22年11月以降の価格改定の影響予測は、「現状マイナス影響はないが、今後出る」が36%で最多だった。「今後も引き続きマイナス影響」(28%)が続き、懸念が強かった。
消費拡大に有効な販売面の対策では、「業界が一体となった大々的な販促キャンペーンの実施」(68%)や、「有名人やインフルエンサー、テレビ番組などとタイアップしたメニュー提案」(32%)、「食品・飲料メーカーなどとのコラボレーション商品の開発」(20%)に注目が集まった。

■記者の目■
チーズは消費場面が広がり、国産のファンも増加する。緩和傾向が続く生乳需給を改善させるための切り札になる。流通業者の注目が集まる今、地域性や、日本人好みの味わいといった国産の強みを最大限に生かした提案で、売り場への定着を図りたい。メニュー提案を重視する小売りも多く、チーズを使ったレシピ開発も有効だ。(斯波希)