卸や小売り、輸入業者ら59人の回答を得た。
23年比で販売が期待できる品目(最大三つ選択)では、「枝物類(実物を含む)」が27票で1位だった。季節感を演出できる必需品となり、通年で需要が高い。家庭向けには「小さく切って使うことが増えそう」(小売り)。日持ちが良い点も重宝される理由だ。
2位は「草花類」(24票)。自然志向で流行する小花ブーケに向き、季節感が重視されている。低コストで栽培できる露地物の生産拡大を望む声もある。日持ちの良さで「ディスバッドマム」(14票)も支持を集め、3位となった。若年層にはギフト向けにも選ばれ、ダリアなどの代替として需要が高まる。4位は「トルコギキョウ」(12票)。家庭、業務、婚礼など幅広く使えて底堅い需要がある。5位は「スプレイ菊」(11票)だった。菊類は「20、30代の間では仏花という固定観念が少なく、多用途で使用が増えている」(別の小売り)。

輸送力不足の対策急務
花き販売のキーワード(最大三つ選択)では、前年に引き続き「物流の効率化」(63%)が最多となった。24年問題と産地の小型化で“出荷難民”が出る事態が迫り、産地や市場間の連携が求められる。2位は「コストの価格転嫁」(54%)となった。店頭で付加価値を訴求できる情報共有が必須だ。「安定供給」(44%)は3位。作付け減や猛暑で品薄高が顕著になり、通年の数量確保を切実に求める声が多かった。
生産・輸送コストが上昇する中で必要な対応(最大三つ選択)では、「集出荷の効率化」(47%)が1位、「配送ルートの効率化」(42%)が2位となった。物流改善への意識の高まりが伺える。前年最多だった「短茎化など規格の見直し」(39%)は3位で、積載効率や実需者ニーズの観点から必要性を訴える声は多い。
「ミモザの日」「お盆」に商機
販売が期待できる物日(最大三つ選択)では、「ミモザの日」と「お盆」が41%で同率1位となった。ミモザの日は「国際女性デー」で、男性が女性に花を贈る習慣が浸透してきた。黄色の花で提案できて若年層で認知が進み、伸びしろがある。
<記者の目>
今後の花き消費拡大の鍵は、季節感と固定観念にとらわれない新たな提案にある。枝物や草花の人気は、特定の品目ではなく、その時々に合った花材を選びたい消費者ニーズの現れだろう。菊類は、日持ちが良い上に若者を中心に仏花のイメージを持たない人が増えており、伸びしろがある。物流や猛暑の問題解決には、規格の変更など花き業界全体で情報を密にする必要がある。販売では異業種とも連携した斬新な消費喚起策が求められる。(永井陵)