
牛乳・乳製品の注目カテゴリ―やキーワードについて、乳業メーカーや小売りの担当者ら31人から回答を得た。
23年に比べて、最も消費が伸びそうなカテゴリ―は、「乳酸菌飲料」(42%)が2年連続でトップとなった。「ヤクルト1000」シリーズの大ヒット以降、注目度が一気に高まり、その後も定着。「売り場を広げて販促している」(スーパーの担当バイヤー)との声もあって、乳製品の販売をけん引している。
2位は昨年同率首位だった「国産チーズ」(29%)。理由では「国産の商品力が上がっているから」と「生乳の需給改善に向け、各社が開発・販売に力を入れているから」に票が集まった。
物価高による消費者の節約志向の高まりを反映し、3位には新設した「牛乳以外の成分調整牛乳・加工乳・乳飲料」(13%)が入った。
「高たんぱく」が存在感

付加価値として重視する項目(複数回答)でも、「健康機能性」(52%)に支持が集まった。前年から32ポイント得票を伸ばした「高たんぱく質などのプラス志向の健康感」(52%)が同率でトップに躍り出た。筋トレブームや、高齢者の体づくりなどで注目される「高たんぱく」が、訴求力のあるキーワードとして存在感を示した。
価格改定の影響では、「すでに販売へのマイナスの影響が出ており、今後も同様の影響が見込まれる」(32%)との回答が最多となった。
一方、「現状、販売への大きな影響は出ておらず、今後も影響はない見通し」(29%)との見方も多く、明暗が分かれた。
消費拡大に向けた販売面の対策では、「業界が一体となった大々的な販促キャンペーンの実施」(61%)に期待がかかる。
酪農危機が長期化する中、政府や業界団体に対し、「生乳生産量を拡大する施策を業界として考えてほしい」(首都圏のスーパー)、「新規就農者への継続的な支援」(製菓大手)など、乳業界以外からも生産基盤強化を望む声が多く上がった。乳業メーカーからは、需要が伸長する国産チーズの増産対策を求める意見が目立った。
<記者の目>
あらゆる食品の売れるキーワードとして挙がる健康志向への対応。鍵となるのが「分かりやすさ」だ。睡眠の質向上やストレス緩和といった機能性表示の商品がヒットを飛ばすなど、自分の健康状態に合わせて乳製品を選ぶ消費者は確実に増えている。摂取することでどんなメリットがあるのかを分かりやすく訴求しつつ、乳が持つ健康価値への注目度を高めることで、牛乳・乳製品全体の消費拡大につなげたい。(斯波希)