キャロットケーキをカフェで楽しむ“キャロ活”が話題を呼んでいる。野菜を使った健康的なイメージを打ち出せて、アレンジの自由度が高くおしゃれに演出できるのも魅力だ。国産ニンジンを使った専門店が登場する他、レシピ検索サイトやレシピ本も支持を集め、自宅で手作りする人が増えている。

キャロットケーキは、イギリス発祥の家庭菓子。一般的には、すりおろしたニンジンとケーキの材料(小麦粉、油脂、砂糖、卵)、ナッツやドライフルーツ、シナモンを中心としたスパイスを組み合わせた生地に、チーズをコーティングして作る。
カフェを中心に多種多様なキャロットケーキが提供されて話題を集める中、専門店も登場した。東京都北区にあるキャロットケーキ専門店「Cherish Foods」は、23年8月にオープン。テイクアウトとイートインで2種類の商品(各400円)週末限定の小麦粉を米粉に置き換えて作った商品や、カボチャやリンゴなど旬の食材を使った限定メニューにも力を入れる。
使用するニンジンは長野県産などの国産。小麦粉や砂糖の原料となるサトウキビなどニンジン以外の素材も国産の使用にこだわる。主な客層は40~60代の女性で「健康に関心の高い人が多い印象で、リピーターも多い」(牧田実果店長)。
レシピ検索サイトでも注目度が高まっている。クックパッドによると、同社のサイトでの「キャロットケーキ」、「にんじんケーキ」の検索頻度は2019年ごろから上昇。24年は19年比の1・8倍となった。現在は、約3000のキャロットケーキのレシピが投稿されているという。
「ニンジンの甘さを生かし、一般的なケーキよりも砂糖の使用量を抑えたレシピや、米粉や果実などと組み合わせた健康を意識したアレンジレシピも多い」(同社)という。
自宅で手作りを楽しむ人も増える中、特化型のレシピ本「いとしのキャロットケーキ まぜて焼くだけ、アイデア無限レシピ」(1793円)が今年の1月に発売された。

著者のキャロットケーキ研究家の小豆田マチ子さんは、「スパイスの分量や配合、トッピングの選択肢が幅広く、レシピのアレンジの自由度が高いことも日本でのブームの要因の一つ」と話す。同レシピ本にも味や見た目が多種多様な44種のレシピを掲載する。
売れ行きは好調だ。同著書を発売した大手出版社・KADOKAWAは「初動が良く、早々に重版が決まった。読者層は都市部の若者を想定していたが、全国的に満遍なく売れている」と話す。
(永井陵)