需要の高まりを受けて、花付きはミモザとして出回るアカシアの2024年の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は1本当たり97円と、10年前と比べ約2倍になった。取引量は同3倍とさらに伸長。花が付く以外の時期も葉を楽しむ枝物としても出回る。

花き業界のシンクタンク、大田花き花の生活研究所は人気の高まりについて、「近年の枝物ブームの中でミモザの認知度が若い世代を中心に、交流サイト(SNS)などで拡大。生産者の導入のしやすさなども相まって需要と供給がマッチした結果だ」とみる。出回る2、3月の寒さの中でも「ポンポン咲く黄色の花から春の訪れを感じるのではないか」と推測する。また、ミモザをイメージしたサラダが飲食店などで提供され、花業界以外からの波及もある。
生花店も売り込みを強める。京王グリーンサービス(東京都府中市)が展開する専門店「フラワーショップ京王」は、2010年から「ミモザの日」に合わせてフェアを展開し、物日の黎明(れいめい)期から販売に力を入れてきた。花付きが出回る2、3月のピーク時には約100本が並ぶ店舗もある。

府中店によると「開始当初、ミモザと『ミモザの日』は共に認知度が低かったが、ここ5年で急速に人気の高まりを感じる」とみる。自宅用に30代後半から40代くらいの女性の購入が多いとし、ミモザが使われたミニブーケは10、20代も購入していくという。同店の担当者は「春の知らせをミモザが届けてくれるため、女性デーだけでなく季節の花としても売り込んでいる」と話す。
山口県周防大島町で昨年5月、アカシア栽培を本格的に広めていきたいと生産者が集まり、「周防大島花木生産組合」を発足。12人が組合員としてユーカリを中心に、アカシアなども栽培する。
組合長の國司崇生さん(51)はかんきつの他、同町で発見された葉が黄色く色付く「金葉アカシアツトム」などを栽培。國司さんは「同町で生産が盛んなミカンのシーズンオフに収穫できる。収穫可能になるまでの年数が短いことも魅力」と話す。
組合を設立した昨年に苗木を定植した農家もいる。國司さんは「生産農家や出荷を増やして関東など販路拡大していきたい」と今後を見据える。
(菅原裕美)