愛媛県が開発したかんきつ新品種「紅プリンセス」の本格販売が始まった。首都圏や県内などで店頭に並ぶ。流通量の少なさからばら売りが主体だが、売れ行きは好調。県は「紅まどんな」「紅かんぺい(甘平)」と合わせた県育成の3種を「紅コレクション」シリーズとして売り込む。3月に出回るかんきつ王国の新顔は食味の評価も高く、順調なスタートを切った。
1日から本格販売が始まった「紅プリンセス」について東京の青果卸は「全体量が少ないが、仲卸や百貨店、高級スーパーなどから引き合いがあった」と話す。東京都内の仲卸は食味の良さから取引先の評価が高いとし、「数量が2、3倍になっても順調に販売ができる伸びしろがある」と評価する。
都内の百貨店や専門店では、季節の果実とともに店頭に並ぶ。ばら売りや2個入りが多く、等階級によるが売価は1玉800~3000円前後。都内の百貨店内に店舗を持つ青果店によると、「品種の系統を説明して勧めており、リピートするお客さまもいる」と話す。首都圏を中心に展開する青果専門店は「『紅まどんな』のように超人気品種になると思う」と見る。一方で消費者の認知度の低さや販売時期について指摘する声もあり、「今後への期待が大きい」(同)とする。
地元・愛媛県でも販売は好調だ。松山市の伊予鉄高島屋では、販売初週(1~7日)に5キロ箱110ケース分を販売した。当初は化粧箱での販売も検討していたが、数量に限りがあるため2玉1080円で売り込む。担当者は「マスコミによる宣伝効果で2日から爆発的に売れた。少しでも多くの県民に『紅プリンセス』を知ってほしいので、2個売りを継続したい」と話す。
(菅原裕美、溝口恵子)
<ことば>紅プリンセス 品種名は愛媛果試第48号。県育成のブランドかんきつ「紅まどんな」(愛媛果試第28号)、「甘平」をかけ合わせたかんきつ王国愛媛の“サラブレッド”。ゼリーのような食感と濃厚な果汁が特長だ。