2026年度から指定野菜になるブロッコリーに注目が集まる中、市場では兄弟野菜であるカリフラワーの安定出荷に期待が高まっている。ブロッコリーの影で生産量を減らす産地も多い中、手取りが良いと、戦略的に増やす産地も出てきた。熊本県では24年10月、冬春産地で系統最大の部会が熊本県のJAやつしろで誕生。安定的な出荷を実現し、販売金額を伸ばしている。
カリフラワーはブロッコリーと同じ機械を使えるため、農家はブロッコリーと合わせて作ることが多い。近年、ブロッコリーの需要増を受け、作期が重なり、手間のかかるカリフラワーを減らす産地が目立っている。
そんな中、カリフラワー生産量1位の熊本県で昨秋、JAやつしろカリフラワー部会が49戸、40ヘクタールで誕生した。従来、5つに分かれ、出荷先市場も販売金額も異なっていた部会を統一。市場を絞ることで数量を確保し、途切れのない出荷で産地の評価を高めている。
カリフラワーの長所は単位当たり収量が多いことと、資材が安く済むこと。同産地では10アール当たりの売り上げがブロッコリーで33万円なのに対し、カリフラワーは50万円。ブロッコリーは氷詰めし、発砲スチロールに入れるなど経費がかかるが、カリフラワーは段ボール箱に詰めるだけだ。
一方、カリフラワーは苗づくりが難しく、管理に手間がかかる。日焼けしないよう一株づつ葉で花蕾(からい)を覆う作業はブロッコリーにはなく、白色が濁れば等級が下がる。JAの木下公貴指導員は「作業量はブロッコリーの1・5倍。人を選んで「作らないか」と声をかけている」と明かす。
産地全体でこの4年で販売金額は4000万円増え、今期は5月までに1億8000万円を見込む。共販外の組合員が部会に入る動きもあり、来期も面積が増える見込みだ。
カリフラワーの生産量や単価はこの10年でほぼ横ばい。増産には生鮮での消費拡大が欠かせない。同部会では白以外の品種も作り、「色を組み合わせて提案しながら、量販店の棚を広げたい」(小原光博部会長)とする。
(柴田真希都)