スイートピー輸出好調 九州産、米国向け中心に
財務省貿易統計によると24年の切り花輸出額は16億円。最大品目はスイートピーで、米国向けのスイートピー輸出に力を入れるなにわ花いちば(大阪市)によると、コロンビア産の攻勢で一時より勢いは落ちたが、まだ伸びているという。単価は国内市場の2割高の水準で、昨期は過去最高の8700万円を売り上げた。
営業部企画チームの足立真哉リーダーは「香り、花持ちに優れ、品種も多い。海外の富裕層から支持されている」と言う。軽く真っすぐな姿で積載効率が良く、遠方へも運賃が少なく済むのが特長だ。足立さんは「韓国やドイツからの注文も多く、まだまだ伸びる」とみる。
同社の輸出で今期、最も多かったのがJAみやざき尾鈴地区本部花き部会のスイートピーだ。安定出荷を強みに前期比で数量は13%(38万本)、金額も3割増えた。「輸出割合が高まることで販売額が伸びている」(販売課)
同部会役員の河野正志さん(56)は輸出で人気の染め品種「シナモン」「そらいろ」を作る。「寒い時期は1カ月日持ちする」と品質をアピールする。
課題は生産量の確保だ。コロナ前まで相場が低迷していたため、しばらく新規生産者がいない。営農指導課の宮越晃規指導員は「単価は上がり、10アール当たり1000万円稼げる。軽量で作業性も良い」とスイートピーの長所を列挙。行政と連携し、生産者の募集に力を入れる考えだ。
■関税上げで先行き懸念も
輸出業者などでつくる全国花き輸出拡大協議会は、今後24%が見込まれる米国向け関税について「会員の懸念はかなりある」と明かす。10%の現在は「輸送方法の見直しなどでしのいでいる」とするが、24%だと「南米競合国の税率10%と差が開き、富裕層向けでも影響は出そう」とみる。(柴田真希都)