小型ドローンでトマト授粉 省力化&着果率上昇 日本工業大が試験(動画あり)
ハウス栽培のトマトで、ドローンを使って授粉作業を省力化する試みを、日本工業大学が進めている。カメラの付いた小型ドローンで受粉可能な花を特定、別のドローンがその花の所まで飛行して花を振動させ、受粉につなげる。試験では、授粉用の蜂や人手に比べて着果率が1割ほど上昇した。ドローンの性能をより向上させ、実用化を目指す。
同大の平栗健史教授によると、蜂は夏場の高温下では活動量が下がり、受粉しないことがある。人手で着果や肥大を促すホルモン剤を花に吹きかける方法も普及しているが、労力がかかる。
研究は2020年に始めた。10センチ四方の小型ドローンを使う。①ハウスの中にカメラの付いたドローンを複数台飛ばし、花の画像を撮影②画像データを基に、人工知能(AI)で花が開ききって受粉可能かどうかを判別③別のドローンが花の位置まで飛んでいき、棒状の器具で花を突っついて振動させ、受粉させる──という流れ。
同大がハウス栽培の大玉トマトで試験したところ、授粉の成功率は80%に達した。試験を基にした試算では、撮影用のドローンは1アールで10台使い、10~15分程度かかる。授粉用のドローンは同1台で、30分程度を要す。
平栗教授は「実用化には、ドローンの耐久性を上げるなど改良が必要」と指摘。費用対効果の分析も今後の課題とする。梨の授粉作業でも試験を進める。