高温ストレスで乳量1%減 米国の農場分析 小規模で影響大
2012~16の5年間の、米国中西部から東部にかけての農場の乳牛5600万頭以上のデータを収集。1日ごとの気温と湿度のデータを組み合わせて、気象条件と生産量の関係を分析した。
その結果、高温ストレスにより年間平均1%の生乳が失われ、5年間の合計で乳量では63万5000トン、収入では2億5300万ドルの損失につながったと試算した。規模別に見ると、乳量の損失は、100頭未満の農場では1・6%と平均よりも高い。論文では、米国の酪農が「世界で最も技術的に成熟している」としつつも、小規模農場は高温に対して脆弱(ぜいじゃく)で、廃業や統合を加速させる一因になっていると指摘した。
研究では温暖化による将来の影響も予測。最悪の場合2050年には、16年からさらに乳量が30%失われるとした。ただこれは、農場の統廃合で大規模化が進めば影響を抑えられるとしている。
研究成果は、国際学術誌「フードポリシー」に掲載された。
(古田島知則)