
有機牛乳の代表商品の一つ「明治オーガニック牛乳」は全て同会の生乳で作られる。管内は中山間地で酪農の大産地ではないが、1999年に乳業大手・明治からの打診をチャンスと捉え2006年から生産を始めた。
研究会は化学農薬・化学肥料を使わず、デントコーンを10アール5~5・5トン、白・赤クローバー、オーチャードグラスの混播(こんぱ)の牧草を10アール約3・6トンと、慣行の8、9割の収量を確保する。通常、有機栽培で慣行に近い収量確保は難しいが、鶏ふん主体の有機肥料、自動操舵(そうだ)を使った効果的なカルチ掛けによる除草、堆肥による土づくり、土壌診断を徹底し、安定した体系を築いてきた。
石川賢一会長は「技術の高さは会員間の連携の成果。新しい資材の実証は数人で手分けすれば1年で数年分の結果が分かり、早く技術進歩できる」と強調する。地域で調達できないイアコーンは委託栽培し、大豆かすは輸入品を利用するが、これらを除く自給率は可消化養分総量(TDN)の7割以上を占める。
JAつべつは、子会社のTMRセンターに有機向けのラインを設置、飼料供給で協力する。JAは「地域を代表する有機農業のけん引役。農家の経営安定にもつながり、取り組みを後押ししたい」(畜産課)と期待する。
生乳はホクレンを通じて販売。通常のプール乳価に加え、有機に対する加算が明治からある。1頭当たり乳量は約8500キロと慣行と大差なく、有利販売を実現する。
農水省の「みどりの食料システム戦略」について石川会長は「われわれの取り組みに社会が追い付いてきた。有機酪農の意義を発信する出番」と意気込む。(石川大輔)

有機酪農を定着させるには、意義を生産者がしっかり理解することが重要だ。会員は、川の下流の漁協と水質保全に取り組み、減化学肥料、減農薬の意義を体感している。有機酪農の価値を消費者に発信し、消費で応援してもらうことも大切だ。
概要
会員数=5人(うち3人は1法人で共同経営)
生産規模=総頭数約550頭(うち経産牛約300頭)、生乳生産量約2400トン
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