
同部会は、65ヘクタールで約40万ケース(1ケース8キロ)を出荷する。量・額とも日本一を誇る鍵は、選果選別の徹底だ。「量が強みの産地。後は品質を良くすれば日本一が取れると考えた」と、大久保修一部会長は強調する。
出荷基準を徹底するためカラー見本を作成。年2回の目ぞろえ会は3カ所の集荷場合同で実施し、選果のばらつきをなくす。部会の検査委員会が抜き打ちの巡回検査も行う。出荷前には全生産者の全作型で試し割りを実施。糖度12を超えた同一作型の圃場(ほじょう)から出荷するよう徹底。試し割りの数は毎年1000個にも及ぶ。
初めから厳しい選果選別だったわけではない。部会発足の1998年当時に12億円あった販売額は、景気の低迷で2006年に6億円に激減。
転機となったのは13年、二番果以降も食味が良い品種「スウィートキッズ」の本格導入だ。「品種が良くても選果が伴わないと単価は上がらない」(同部会長)と選果を徹底した。結果、旧品種と比べ1ケース当たり最大で300円もの差が生まれ、部会員の意識が変わり出した。宣伝活動にも力を入れ、消費者と接したことも刺激になった。
翌年には1ケースの平均単価が初めて2000円を超えた。厳格な選果で秀品率こそ下がったが、優・良品の単価が向上。平均単価の底上げにつながった。卸売業者が「JA北つくばは良品でも質が高い」と新規顧客に推すほどだ。21年には新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要で20年ぶりに販売額が10億円を超えた。
後継者も増えた。21年には45歳以下の生産者22人でつくる青年部も発足し、栽培マニュアル動画の作成などに取り組む。(長野郁絵)

V字回復の大きな要因が部会員の意識改革だ。そろいのピンバッジで一体感を高め、これまで「忙しい」と一蹴していた販促に赴き、消費者に選ばれる産地を目指してきた。部会員は、出荷基準をクリアしても「3日待てば糖度があと0・5上がる」と、より高い品質を求めるようになった。産地の誇りを育てることが大切だ。
概要
部会員数=144人(22年度)
販売額=10億3900万円(21年)
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