
2010年に3億円だった販売額は、20年に9億円に拡大した。増産を後押しするのが、20年に導入した自動選果機だ。運ばれたブロッコリーを保冷庫で一晩寝かせた後、自動選果機で等階級別に詰め、氷を満たして出荷する。これまでの選果機より処理能力が高まり、ピーク時は1日5000箱(1箱6キロ、約20個入り)を作る。部会長の藤田稔さん(55)は「全部会員が持ち込み、選果の労力軽減になっている」と話す。農家は生産に集中でき、規模拡大につながっている。
新規就農者も増え、部会が活気づく。30、40代が中心の「若手後継者会」は部会員の半数近い32人で構成、研修会などで栽培技術を磨く。20種以上の品種を試験栽培し、成果を部会内で共有。出荷増に向け次期の作付けや作型を先導する。こうした取り組みが19年、日本農業賞大賞と農林水産祭天皇杯の受賞を引き寄せた。
販売金額の確保に向け、スマート農業も活用する。国のスマート農業実証実験で営農支援アプリを導入、生産情報の見える化を進める。JA西部基幹営農センターの田中慶輔主任が各圃場(ほじょう)の播種(はしゅ)や生育状況などを記録。収穫日や出荷量を予測し、部会で共有する。市場にも情報提供し、相場の安定につなげる。田中主任は「需給の均衡を産地主導でつくるため、この取り組みを全国へ広げる必要がある」と強調する。
水田転作などによる生産量の増加で、相場が低迷して減産する産地もある中で、同部会は増産を堅持する。藤田部会長は「作型を調整し、冬期出荷を増やすことで、単価の回復と販売額10億円への到達を目指す」と意気込む。(柴田真希都)
部会長 藤田稔さん

概要
部会員数=66人
生産規模=230ヘクタール・約2600トン(21年度見込み)
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