
部会の販売金額の7割を占めるのがシャインだ。同品種が引き上げる形でブドウ全体の単価は21年、過去最高の1ケース(4キロ)7555円を記録。早期産地化で実現した出荷ロットの大きさ、品質の高さが評価され、全体の6割を予約相対取引が占め、安定販売につながっている。
産地間競争を勝つためにこだわるのが、食味向上だ。収穫前の糖度点検は9月に地区や支部ごとに行い、全部会員が参加する。荷受け時に、房形や色づきなどを点数にして評価。平均点を上回ると、農家は市場の平均単価以上の収入を得られる制度で意欲を高める。
1房500~600グラムで30~35粒、10アール当たり3000房を徹底。糖度18を目指す。部会長の武田直人さん(48)は「房が大きくなり過ぎると糖度が上がらない。適切な大きさにする意識を全員で持つことが大切だ」と説明する。
導入のきっかけは、当時の部会員が、試験場で試験栽培されていた品種登録前のシャインに出合ったことだ。試食して驚いた圧倒的な食味の良さ。「これは売れる」。国が育成した品種で、全国で人気が出ると見越した。
09年には早期産地化のプロジェクトを発足。苗木の確保や接ぎ木、苗木をJAと中野市が助成し、増産を後押しした。その後に全国的なブームが到来。戦略は当たった。
好調を受け、他品目から転換する農家も増加。22年の部会員は547人と7年前より80人増え、通常の講習とは別に新規向けも開催。専門用語を簡単な言葉に置き換えて説明するなど工夫する。
ブドウ栽培3年目の高橋純一さん(40)は「作業の要点を分かりやすく説明してくれる。同じレベルの仲間が多く、相談もしやすい」と話す。(藤川千尋)

新規参入も増える中、世代と地区を越えて、部会全体で新規栽培者の技術を底上げすることが、質と量の向上、産地力になる。今後は「クイーンルージュ」の産地化も目指し、挑戦を続けたい。
概要
部会員数=547人(22年)
販売額=61億5000万円(21年)
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