
飼育するのは、オランダ原産の品種「ネラ」350羽。餌は、市内で栽培された古代米やもち米、トウモロコシなどを粉末にして独自にブレンド。名水百選にも選ばれている同市の湧き水も与え、鶏の健康に常に気を配る。
澤口さんは元々1次産業に興味があり、金属加工業に従事する傍ら、趣味で林業に関わる講習を受けていた。林業仲間に誘われて有志団体の米作りに参加したところ、養鶏場で後継ぎを探している話を耳にした。自然と共存する飼育方法に感銘を受け「ここで養鶏をやりたい」という思いを強めた。先代の下で1年間研修し、事業を継承した。
養鶏に携わる前は、小学生のサッカーチームで約10年にわたりコーチを務めていた澤口さん。「タンパク質が多く栄養価の高い卵は、運動後の補食に最適。子どもたちに食べてほしい」と思いを語る。新たな取り組みとして、栄養を強化した卵の出荷を目指している。自らエゴマやモロヘイヤを栽培し、鶏に与えることで、ドコサヘキサエン酸(DHA)などを多く含む卵作りに挑戦する。
消費者へのPRにも取り組み、インスタグラムで小まめに情報を発信。養鶏への思いや鶏舎での作業の他、野生動物の被害に遭ったことなども伝えながら、養鶏を身近に感じてもらうことに力を入れている。今後、卵の収穫体験など、子どもや家族連れ向けのイベントも開く計画だ。「養鶏場の環境を利用して子どもに楽しんでもらえる体験を提供できれば」と笑顔を見せる。