「職場づくり塾」2025年度第1部は、新入職員向けに「JAで働く意味」をテーマに、JA全中のJA組織・経営対策部JA改革支援課人事労務チームの中川峰郎担当課長に解説してもらいます。
農業協同組合(JA)に就職された皆さん、新しい門出をお祝いいたします。今まで過ごしてきた学校や、あるいは会社から転職された人ならば、今までの学び舎や勤めてきた会社とは異なる環境で過ごしていくわけです。今回の連載では、JAで働くことについて考えていきたいと思います。
「協同組合」と呼ばれる組織は、JAだけではなく、生活協同組合や漁業協同組合などがあります。そもそも、なぜ「協同」という言葉が使われているのでしょうか。言い換えると、なぜ「共同」ではないのでしょうか。
漢和辞典「漢辞海」(三省堂)によると「協」のなりたちは「多くの人々が一体となってなごむ。「劦(=力を合わせる)」「十(=多い)」から構成される。」とあり、一方「共」のほうは「いっしょ。『廿(=器物)』『廾(=両手でささげる)』から構成される」とあります。
私自身の解釈ですが、いずれの漢字も「いっしょ」であるという要素がありますが、多くの人々が力を合わせるということでいうと、「協」の方がよりその意味を表していると言えるでしょう。
また、「日本国語大辞典」(小学館)によると、「協同」とは「二人以上の人や団体などが一つの仕事のために心や力を合わせること。共同」とあり、一方、「共同」は「二人以上の者が一緒に事を行うこと。また、二人以上の者が、一つの事物について同等の資格で所有したり、利用したり、一緒に活動したりすること」であり、第二義で「協同」とあります。
これらを読んでみると「協同」と「共同」は、ほとんど一緒であるとも言えるのですが、「協同」の方は人だけではなく「団体」も加わっていますし、力だけではなく「心」も合わせることも示されています。
さらに「協同組合事典」(家の光協会)では「協同」を「個人や集団がある目的を達成するために力を合わせる過程や関係」とし、「まず目的が明確で、その達成を意図して行われるもの」とあります。
まとめてると、協同とは、人々や組織が一緒に実現したいという明確な願いがあり、それを目標として、願いを成し遂げることであると言えます。すなわち、個人ではできないことを、力を合わせて実現させるということになります。
実際にJAは、農家だけではなく農業法人も加入できますので、組織が力を合わせるという要素もあります。主な組合員である農家が力を合わせる組織がJAであり、農家の願いの実現のためのお手伝いをするのがJA職員なのです。

なかがわ・みねお 1968年生まれ。94年にJA全中に入会。人事労務支援の他、教育、広報、経営、監査の各部門を経験。2025年4月から現職。