新潟県は2024年度、就職先・転職先に農業を選んだ女性の働き方を紹介する動画3本を作り、県の公式ユーチューブチャンネルで公開した。農業法人で正社員、パートタイム労働者、経営者として働く女性5人が登場する。
ミニトマト 体力的負担案外少ない 大澤あゆみさん
大澤あゆみさん(41)は、2ヘクタールの大規模ハウスでミニトマトの収穫と出荷量の集計を担う。前職は事務や接客。娘の好きなトマトに携われる仕事に就こうとエンカレッジファーミング(新潟市)を志した。同社はミニトマトを年間約400トン生産し、加工品の販売や野菜・花苗も育てる。
大澤さんは「『農業イコールつらい』というイメージがあったが、体力的にも負担が少なく、女性が働きやすい職場だと思った」と話す。
観光農園 勤務時間の融通が利く 増山優さん
2本目の動画からは、勤務時間の柔軟性や相談しやすい環境が子育て世代にも支持されていることがにじむ。
観光農園とカフェを営む白根グレープガーデン(同市)でパフェやタルト作りを担当する増山優さん(41)は「子どものお迎えの時間に合わせて勤務時間を調整してもらっているのでありがたい」と語る。同僚が育てた果実を使うことも同法人で働く魅力だという。有給休暇制度や洗面所の清潔さ、制服の支給なども評価されていた。
米、大豆など 機械作業は「女性向き」 駒野亜由美代表
3本目には、約50ヘクタールで水稲、大豆、施設野菜を育てるホープイン中沢(長岡市)の駒野亜由美代表が登場。20歳で就農し、33歳で農業法人の代表に就いた。「女性に向く業務は機械作業」と話す。
県経営普及課の藤田一課長は「食に関わる部分や感性を生かせることを打ち出し、農業に女性が関わる間口を広げていきたい」と話した。


今は自分の時間を大事にしたい人もいて、働き方はみんな同じではない。現状を表すなら多層化・複層化。生産現場の方が自由な働き方をしている。女性活躍の進化も重要だが、ハードルを上げ過ぎず、それぞれの取り組み、働き方が受け入れられるような環境整備が大事だ。(大高摩彩)
女性農業者の経営への関与 「生産部門」断トツ 会計や販売も
農水省によると、女性農業者の農業経営への関わり方は「生産部門」が93%で最多。「会計部門」が33%、「販売部門」が30%、「加工部門」が11%と続く(複数回答)。農産物の生産に携わる人が多く、会計、販売など幅広い業務で役割を発揮していることがうかがえる。
調査は2022年12月~23年1月、個人経営体の経営主と配偶者の女性農業者、男性農業者各4000人、1500の団体経営体を対象に実施。女性1693人、男性1842人、811団体から回答を得た。