全国のイチゴの栽培面積は10年で2割減っていますが、2020年のイチゴの産出額は1770億円で10年前から2割上昇しています。希少性や食味の良さでブランド化し、高単価で販売できる県独自品種の開発競争が激化。品種の世代交代が加速しています。(記事は2月11日付掲載。新たに動画を加えました)
Q なぜ、県独自品種が増えているの。
A 既存品種の価格低迷などから2000年代に県独自品種の開発競争が始まりました。いろいろな都道府県で生産される品種は出回り量が増えるにつれて品質にばらつきが出て価格が崩れるなどの課題がありました。限られた産地で統一の出荷基準を設け、希少性や高糖度をアピールしブランド化する動きが出ました。<下に続く>

いち早くブランドを確立したのは福岡県の「あまおう」です。発売20周年とロングセラーながら単価全国1位を維持しています。21年には県内平均価格が1キロ1548円と過去最高を達成しました。
Q なぜ「あまおう」は、高単価を維持するの?
A 県内シェアがほぼ100%という全県的な普及で供給力があります。高糖度の良食味で果肉が硬く長距離輸送にも耐えられるため国内外に流通し知名度を高めました。他産地では「打倒・あまおう」を掲げ、高品質でおいしい独自品種が続々誕生しています。
Q 独自品種にはどんな特長があるの?
A ①多収系②大粒系③硬度がある品種――の三つに大別できます。多収系でも、特にクリスマスや正月など大きな需要期がある年内に安定した収量が見込める早生品種の導入が進んでいます。熊本県では早生品種「ゆうべに」のシェアが過半を超えています。大分県の「ベリーツ」は極早生品種で10月下旬から出荷が始まります。
宮城県の早生品種「にこにこベリー」は大粒で果肉が硬く輸出も有望視されています。大粒系は収穫やパック詰めの手数軽減だけでなく「平パックでの流通が多く気温の高い時期もロスが少ない」(関東の卸)と市場評価も高いです。一方、大果系の増加で「数年後は(2段積みの)レギュラーパックに不足感が出てくる」と指摘する声もあります。
Q 各県、独自品種が面積を伸ばしているの?
A 面積減や生産コスト増など産地を取り巻く環境が激変する中、各産地で従来品種より高収量で有利販売できる独自品種のシェアを高めています。佐賀県では、従来品種より2割ほど多収で良食味の「いちごさん」が品種登録から5年で県内生産の95%に広がりました。54年連続生産量日本一の栃木県は、収量が「とちおとめ」の3割増の多収品種「とちあいか」を27年産までに県内生産の8割に増やす方針です。
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