

「キャベツを食べるウニ」は、神奈川県水産技術センターが2017年に開発した養殖方法だ。海藻類が食べ尽くされる「磯焼け」の対策として駆除したウニに、規格外のキャベツを与えて育てる。農業と漁業の双方の悩みを解決する取り組みとして注目された。
これを題材にし、ウニ形のケースにキャベツ模様のバッグを収納するエコバッグを考案したのが企画デザイン会社「2時」(京都市)。昨年2月、ツイッターに写真を投稿すると18・5万件以上の「いいね」が付いた。ガチャメーカー「いきもん」(東京・あきる野市)が商品化、10日から販売する。全4種類で1回500円だ。

畳むのが面倒で…
「2時」の楢崎友里代表に話を聞くと「畳むのが面倒なので、楽に収納できるエコバッグが欲しいと考えた時にひらめいた」と教えてくれた。「無造作に収納してできるしわは、キャベツの質感を出せる」とも話す。「キャベツウニ」の存在は、ニュースで見て知っていたという。
エコバッグのガチャは、早々に売り切れる店も出る人気ぶりだ。「いきもん」の担当者によると「キャベツウニを知っている人だけでなく、見た目のかわいらしさから女性に人気があるようだ」
神奈川県水産技術センターの臼井一茂主任研究員は「マニアックな業界に光を当ててもらった。認知度の高まりを感じている」と話す。

写真を送ってくれた女性からは、キャベツウニの「近況」についても質問があった。臼井主任研究員によると、野菜でウニを養殖するのは「全国で100カ所以上に増えた」。企業や自治体が参入。北海道ではハクサイ、青森はリンゴの残さなども与えているという。
特産PRも期待
「農業ガチャ」の記事には、「うちにも設置したい」という問い合わせも相次いだ。
茶の魅力を発信するテーマパーク「KADODE OOIGAWA」(静岡県島田市)は、「ティーバッグなど、来場者が楽しんでお茶に親しめる商品を入れたい」と検討する。
福島県のJAふくしま未来は特産野菜のミニチュアや野菜の引換券、埼玉県のJAあさか野は農産物のミニチュアなどのガチャを直売所に設置したいという。
(高内杏奈)
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