「エコ野菜」などと記したシールを張った野菜がずらりと並ぶ、JAグリーン大阪の直売所「フレッシュ・クラブ」(東大阪市)の売り場。シールを貼るのは環境に配慮した農産物だ。来店者がそのシールを集めると、賞品と交換できる新たな制度が本年度から始まった。
「東大阪エコ農産物ポイント(愛称OENポイント)」として、同JAに加え、JA大阪中河内、市などでつくる東大阪市農業振興啓発協議会が制度を運営する。シール200枚で、店舗が指定する400円以内の農産物などと交換する。
大阪府の認証やJAごとの認証を得た農産物がシールの対象だ。府の認証は、化学肥料や農薬を通常の半分以下に減らした上で、1品目当たり1アール以上栽培していることが要件。これに対してJAグリーン大阪では、同市内に小規模生産者も多いことから、1アール未満の農家も認証している。面積を問わず、幅広い生産者の農産物をポイント制度で扱うため、府とJA、3種類の認証を対象としている。
同JA直売課の佐々木猛士課長は「シールを集めるのを楽しみに買ってくれる来店者もいる。環境に配慮して生産した地元農産物が売れる環境を整え、農家を支えたい」と話す。
消費者の7割に効果
大阪府は、地場産や有機JASの農産物を含め、生産や流通の過程で排出する二酸化炭素(CO2)量が少ない商品を選んでもらおうと、小売りなどが運用するポイント制度に上乗せ付与する制度の実証を進めている。2022年度は売り上げ増の効果があった。
府内の小売りで22年11月から3カ月間、「脱炭素ポイント」として、有機JASを含む関西近郊産の農産物に上乗せとしたところ、売り上げ点数は、上乗せがなかった前年と比べて6%増えた。ポイントを付けなかった農産物は同4%減だった。
消費者へのアンケートでは、ポイント付与が脱炭素につながる農産物などの購入の「後押しになった」「やや後押しになった」の回答が7割を占めた。23年度も実証を計画する。
府は「脱炭素への消費者の関心が高まっていることやCO2削減の効果などを広く共有し、脱炭素ポイントを自主的に実践する小売りを増やしたい」(環境農林水産部)と話す。