先進技術を使った機械や設備は高額で、農家が個別に導入するのは難しい。農作業を手助けする外部の事業者を育成し、産地と一体になって効率的な栽培体系への転換を促す。
2024年度予算の概算要求に「農業支援サービス事業育成対策」として、23年度当初予算比8000万円増の1億1000万円を計上した。
政府は来年の通常国会に、スマート農業を推進する法案を提出する。同省は「法制化に合わせて、サービス事業体の育成を加速化する」(技術普及課)考え。新法に基づく金融や税制上の支援に加え、補助事業でも農業のスマート化を総合的に後押しする。
具体的には、サービス事業者が、参入を目指す産地のニーズ調査や試行的なサービスの提供、産地の実態に合わせた農機やシステムの改良にかかる費用を助成。従業員がサービスの提供に必要な専門知識を取得するための研修費も支援する。
全国各地にサービスの拠点を設けるなど、広域で一斉に展開する事業者への支援を手厚くする。通常は1事業者当たり1500万円が上限だが、新たに広域型を設け、同2000万円を上限にする。広域型の対象となる範囲は、今後詰める。
同省によると、農業支援サービスは、ドローンを使った農薬散布など稲作で多い一方、果樹や野菜といった品目では少ない。そこで、果樹や野菜で土づくりや収穫などの作業を支援する事業者を優先的に採択する。
他にも①スマート技術やデータを活用した営農の効率化・高度化②輸出拡大や生産資材の使用減③環境負荷の低減と生産性向上の両立――につながるサービスを重点的に育成する。23年度中に事業者の公募を始める方針だ。